定番中の定番教材「スライディングブロックスイッチ」の作成
今回は、特別支援学校外部専門家 視能訓練士 釣井ひとみ氏(平和眼科)監修、「方向性のある手の動きを引き出す」ための定番中の定番教材スラインディングブロックにスイッチをつけたものを作ります。スイッチをつけることによりブロックを終点まで動かした時のフィードバックを音、光、振動など対象の方のニーズに合わせて色々に変えることができます。
釣井氏は、それまでPT・OT・STが主だった特別支援学校の外部専門家に視能訓練士として入られたパイオニア的存在。学校の子どもたちの「見る」を支えています。T氏から教材の作成依頼を時々受けていますが、今回は以前から使っているスラインディングブロックスイッチを作って欲しいとのオーダー。寸法などは指定通りに、ブロック部分やレール部分を若干変更して誰にでも作成しやすい形にしました。
作るのが「ちょっと・・・」という方のために、同じものをスマイリングストアでも販売しています。是非ご活用ください。
では早速作っていきます。
■ 材料
今回も木材は東急ハンズで購入しました。
・木の板(朴材 大きさ約120mm×350mm×10mm) 1枚
・木の板(朴材 大きさ約30mm×330mm×10mm) 2枚
・木の板(朴材 大きさ約50mm×300mm×8mm) 2枚
・半球(50mmφ) 1個
・円盤(50mmφ×10mm) 1枚
・木片(約50mm×50mm×8mm)と木片(約18mm×50mm×8mm)
※ 木の板(大きさ約50mm×300mm×8mm) の残材を使用して作りました。
・厚さ調整のための板(幅20mm×厚さ1mm)
・10mm×10mmの角材
・マイクロスイッチ(写真の型番のものが大きさ、硬さともにオススメです。先が丸まったベロ付きのものが今回は良いです。amazonでも売っていますが送料が高い場合があるので注意が必要です。)
・平行コード
・すべり止め
・水性ペンキ
■ 道具
・サンダー中目
・空研ぎ紙やすり#150と#500
・ニッパー
・ハンダゴテ
・ハンダ
・カッター
・ドライバーセット
・木工用ボンド
・筆
■作り方
・写真のように木の板(朴材 大きさ約30mm×330mm×10mm)と木の板(朴材 大きさ約50mm×300mm×8mm)を両面テープで仮止めして重ねます。
・サンダー、空研ぎ紙やすり#150、#500の順に下写真のように角を面取りします。以下「面取り」と書かれている場合は全てこのサンダー、空研ぎ紙やすり#150、#500の順で行います。
・写真のように印をつけておくて後ではり合わせる時に便利です。
・両面テープを外し、木の板(朴材 大きさ約30mm×330mm×10mm)は、もう一方の角も面取りします。
・木の板(朴材 大きさ約30mm×330mm×10mm)と木の板(朴材 大きさ約120mm×350mm×10mm)を写真のように木工用ボンドで貼り合わせます。
・面取りしてない方の角を下板の角に合わせます
・面取りした方はこちら側。
・ボンドが乾いたら底と内側縁のみ空研ぎ紙やすり#150、#500の順でやすりがけします。
・木の板(朴材 大きさ約50mm×300mm×8mm)の表側のみ水性ペンキで塗装します。
・1度塗って乾いたら空研ぎ紙やすり#500で塗面を滑らかにやすりがけして、
・もう一度塗ります。
・今回使った水性ペンキはこちら。
・筆はこちら。この筆本当に塗りやすいのでオススメです。この筆はハンズになく近所のホームセンターで買いました。
・ペンキが乾いたら写真のように木工用ボンドで貼り合わせます。この時つけておいた印を手掛かりにすると楽チンです。
・木片(約50mm×50mm×8mm)と木片(約18mm×50mm×8mm)を木工用ボンドで貼り合わせ、面取りします。
・真ん中でに貼り合わせるためには、それぞれの板の真ん中に印をつけておくと便利です。
・1mmの厚さ調整板を木工用ボンドで貼ります。
・面取りして、中心に印をつけます。
・円盤の縁を面取りをします。
・円盤を印に中心を合わせ木工用ボンドで貼り付けさらに中心をねじ止めします。写真のようにキリなどで表面に傷をつけておきます。こうすることで木工用ボンドの接着力が増します。
・半球を上から木工用ボンで貼り付けます。半球側の接着面もキリなどで表面に傷をつけておきます。これでブロック部分は完成です。
・いよいよスイッチ部分の作成。マイクロスイッチにコードをハンダ付けします。ハンダ付けする位置はスイッチの突起がある下の2本の端子部分です。極性はないので、どの色の線をどちらの端子に付けても大丈夫です。
・本体にスイッチをつけていきます。ブロックを動かしながらスイッチが入る位置を確認して印をつけます。両面テープで貼り付けねじ止めします。
・次に断線対策。10mm×10mmの角材の端を平行コードが通る大きさにサンダーで削ぎ落とします。
・結束バンドを平行コードにつけておきます。こうすることで、ストッパーになり、ハンダ付けした部分に力がかかるのを防ぎます。ちょっとしたことですが断線防止の効果絶大です。
・10mm×10mmの角材を本体に木工用ボンドで貼り付けます。
・木の板(朴材 大きさ約50mm×300mm×8mm)の残材を切ってスイッチ部分の蓋を作り、色も塗ります。
・平行コードの反対側に下図のよう3.5モノラルミニプラグを線とハンダ付けします。穴がありますので、そこに線を入れてはんだ付けします。はんだ付けは慣れが必要ですが、コツとしては金属部をハンダゴテで十分温めてからハンダをつけるとじわっと広がるようにハンダが伸びていきます。逆に十分金属側を温めないとハンダが団子のように丸まった状態ではすぐ取れてしまうので注意してください。極性はないので、どの色の線をどちらの穴に付けても大丈夫です。この時、プラスチック部分を通しておくのを忘れないでください。
・根元で線を折りたたみ、金属をかしめます。その後ホットボンドを少しだけ付けておくと断線しにくいです(たくさんつけるとプラスチック部が閉まらなくなりますので注意)。
・プラスチック部分に収めていきます。
・色を塗った蓋部分をねじ止めして、底面にすべり止めを貼り付けて完成です!!!
スイッチ部分の蓋はメンテナンスが必要になるかもしれませんので木工用ボンドでなくネジで止めます。こうすることでいつでも開けてスイッチ部分を修理することができます。
・SHJ学びサポートの生徒さんと早速使ってみました!
・チャイム&メロディに接続して上下左右どの方向へもどんどんスライドさせて音を出していました。音のフィードバックでモチベーションが上がっていました。
・今回接続したチャイム&メロディはこれ。チャイムとメロディの切り替えがついていて、メロディは12曲が順番に流れる優れもの。スライディングブロックスイッチの接続先として改造依頼を受けて今回初めて存在を知りました。かつて先輩たちはこのようなチャイムをたくさん使っていたのでしょう。家では音が大きめでびっくりしますが学校などでは良いでしょう。持ち運びの時に電池を外しておかないと電車の中でなってしまったら大変です(笑)。丈夫で長〜い並行コードもついてきてスイッチ改造に流用でき、得した気分です。無線で飛ばすものが主流になってきて、もしや生産中止かなと思っていいたらやはり品薄らしいです。
・チャイム&メロディの改造の仕方は別の機会にお伝えします。
今回は以上です。最後までありがとうございました。
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