100年続く~コーヒーという情熱~
私が普段働く会社は今年で101年創業を迎える
大手ロースターです。
2022年3月をもって満3年勤めたこの会社を退職しました。この会社で感じた学びや気付きについて自分のメモも兼ねて残しておきます。
100年続けること
業務用コーヒー市場で働く毎日。
この会社はビジネスを行う期間も長ければ、
取引先もそこそこ長い期間取引しています。
珈琲の先物価格上昇に伴い、取引先に足を運び値上げの交渉をする毎日を昨年は経験しました。
その中で普段の営業活動では滅多に行かないような小さな喫茶店にも足を運ぶわけですが、
なかなかパンチ効いた店が多々あるわけです。
日本で最も喫茶店が多かったのは1986年、
今やその半数強が消滅しています。
最近でこそ純喫茶ブームになりましたが、
マジの純喫茶はレベルが違います。
珈琲に長年こだわったマスターが淹れる一杯を味わう場と想像する方も多いかもしれません。
しかし実際は、店の数だけ存在する長年の癖が進化した賜物のような抽出方法や、常連客がほぼ全滅しマスターがボチボチ閉めようとする中、
純喫茶ブームで意に削ぐぬ形で若い客に支持され
繁盛してしまった店、、、。
と、なかなかマジの純喫茶は、みなさんが思う現実をとうに越しています。癖です癖。
しかしそんな小さな街の”きっちゃ店”があったから、今の会社が存在し、珈琲文化も存在する。
間違いなく僕らの今見ている
珈琲の世界の基盤を作った先駆者です。
美味しい淹れ方を模索し、正解を求めがちになりますが、彼らの淹れ方がどうであれ、使っているコーヒーがどうであれ、今の今まで商売をやっている。そのコーヒーにお客が付いている。
それが全てであり、正解だと感じます。
こんな営業をする機会もあるので、
「一つの珈琲文化の繁栄を看取るような時代」に
来ていると日々痛感します。
純、喫茶店とは?
純喫茶。ちなみに名前の「純」という意味はどういう意味か考えたことはありますか?
純があればもちろんその逆、不純があります。では不純喫茶とはどんなものでしょうか?それには意外と深いコーヒー文化、というかカフェ文化の歴史を遡る必要があります。
明治時代、西洋化に伴い日本に生まれたカフェは上流階級の社交の場として機能していました。時代を経て、それが庶民の憩いの場に変わるかと思えば、どちらかと言うと男性客が女性従業員からそこそこ密なサービスを受けるお店として位置付けられていきます。つまり、キャバクラ的存在ですね。喫茶店と名乗りながらなんでもありの時代は長く続き、現在もメイド喫茶とかありますが、そういったサイドビジネス的喫茶店、つまり純粋なコーヒー屋ではない店と区別するため、コーヒー専門にしている喫茶店は名前に純とつけたわけです。
喫茶店という名前は純喫茶を指すことも多いですが、不純喫茶(不純というよりは、コーヒー専門に準じないに近い)も含むということを忘れてはなりません。
日本において喫茶店の数が最大になったのは1981年です。当時15万件もの数を誇っていた喫茶店は、今や半減して…という記事はよく見ますが、その中には例のごとくモエモエキュンな喫茶店や動物と触れ合える系喫茶店、ノー◯ン喫茶店も含まれています。喫茶店が減少するという単なる淘汰的な見方も出来ますが、純粋なコーヒー屋が増えたとも言えます。
我々がずっと唱えているコーヒー×〇〇というのは、不純喫茶という形で意外と昔からあり、そもそも社交の場としてできた明治のカフェ時代から考えるとコーヒーの役割は補助的な位置付けで、コーヒー1本でやっていることを「純」という言葉で示さなければならないほど、コーヒー文化の歴史というのはコーヒーにフォーカスが当たっていなかったのでしょう。
今やコーヒー自体が注目されるようになりました。産地や品種だけでなく、農家の顔や声まで消費者は求めていくようになりました。明治大正のコーヒーとわけが違い、また掛け合わせる◯◯の部分も全く異なります。だからこそ、純喫茶には不純な時代背景のなか、純粋にコーヒーの価値を高める歴史的にも重要な役目を持っていたのでしょう。
3度の革命の時代を生きる。
現在のコーヒー文化は三度の革命的なムーブメントが起きたのにも関わらず、各世代に需要はあり共存しています。気がつけばこの3つのムーブメント全てに関わり商売をさせて頂きました。僕たちが作りたいのはそのどれとも違う、全く新しいコーヒー文化。イメージしやすいように言えば4th waveとも言うのでしょうか。たしかに今までにないコーヒーをと追い求めれば、現在のカテゴライズから外れるのであながち間違いではないでしょう。
ただ我々が作るコーヒー文化も、商品も,店も付いてきてくれるお客様あってのもの。その事実はどのコーヒームーブメントにおいても変わらないのでしょう。
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