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【雑詩】 残照
人生を振り返れば
出発の地は遠く霞んで見えない
いま 時間の路傍に佇み
これまでの人生で遭遇した
出来事を数えあげれば
幾つもの喜怒哀楽が巡り巡る
到底 ひとりでは数え切れない
だから 僕は決めたのサ
「これからの残された人生
“好い経験”を忘れて生きてゆこう」と
「えっ 悪い経験の間違いじゃないの」
みんなの訝しがる表情が見える
だけど 間違いじゃない
なぜなら 悪い経験を覚えていれば
辛いことから 自分を守れるから
もう けっして傷つきたくはない
良い経験を忘れることで
君と出逢った頃のような
あの素晴らしきときめきに
あの季節のきらめきに
もう一度 心を委ねられるのだから
心はいつでも安息を求めている