登山の栄養補給を深掘る〜VESPAについて〜
こんにちは、まつげです。
登山を始めて1年ちょい。行動食もある程度定まってきましたが、より良いエネルギー補給を求める中でVESPAが気になったので今回はその話をしようと思います。
VESPAとは
VESPA & WASP スポーツサプリメント公式サイト (vespasport.com)
ふむふむ…この有り余るお腹の脂肪をエネルギーに変えて運動できたらなんと幸せなことか!
100km以上走るウルトラマラソンや、山々を駆け抜けるトレイルマラソンの選手が愛用している姿を度々見かける商品なので詳しく調べてみた。
脂肪燃焼を優先させる理由が書かれていない
VESPAのサイトを見てみたが、スズメバチから抽出した栄養液(以下:VAAM)が"なぜ"脂肪燃焼を促進させるのかという点に触れておらず、初見の感想としては「限りなく怪しいし胡散臭い」でした。
ということで、論文やら研究結果報告を調べて読み漁りました。
真偽チェック!
VAAMの効果が立証された研究結果
この分野の第一人者である理化学研究所の阿部岳さんの研究結果を紹介した記事が説得力がありました。
rn200511.pdf (riken.jp)
要約すると
1日100km移動することもあるスズメバチのエネルギー源となる栄養液(VAAM)。それ再現することで、人体やマウスにも適応できないかと考えた研究。
有酸素運動時に主として行われる代謝の仕組み(クエン酸回路)の起爆剤に通常は糖が使われるが、その起爆の役割をVAAMに含まれる成分が担い、より効率的に代謝を促し運動直後からクエン酸回路を起動させるという結果だった。
運動時の代謝の仕組み
そもそも、人間(生物)には運動するときに3つの代謝回路が存在するらしい。
・筋肉内のエネルギーを使うAPT-PCr系
・摂取した糖をエネルギーに使う解糖系
・糖と脂肪をエネルギーに使う有酸素系(クエン酸回路)
この3つのエンジンが運動時間や強度によって貢献度が異なって作用するようだ。(下図参照)
クエン酸回路は優位になるまで時間がかかることが分かる。
この起動時間をVAAMは早めてくれるというわけだ。
ちなみにこのクエン酸回路は糖と同時に乳酸を分解してくれる優れもの。
登山というアクティビティに注目すると、運動時間は長いがランニングやジョギングより強度は高いはずだ(何キロも背負って昇降運動をするため)。
そのためクエン酸回路と解糖系の回路が両方作用している状態なのではないかと考えられるので、糖からのエネルギーも大事な状態にある。
VESPAの実際の効果(と推測できる結果)
これまでのことから、VESPAはクエン酸回路へのエンジン起爆剤であり、運動前30~60分に摂取することで以下のような効果が得られることが分かった。
・運動直後から、糖も脂肪も燃焼する状態で登山を開始できる
・乳酸が分解され、運動後の疲労蓄積が軽減される
サイトに書いてあった「糖質による貯蔵エネルギーを温存したまま貯蔵脂肪エネルギーを優先的に運動エネルギー源に変換する」は誤りな気がする。
しかし超距離のマラソンでない限り、体内では解糖系回路も動いているため、VESPA等VAAMを含むサプリや飲料の効果に過信せず、しっかりと行動食も併せて摂取し、糖質やアミノ酸が枯渇しないよう気を付けなければならないだろう。
山に限らず高負荷の持久運動時にはエネルギー的に余裕のある栄養管理を心がけたいですね。
勝手に気になって勝手に調べまくった自己満の自由研究でした。理論的には分かったので、今度は実際自分の体で実験してこようと思います。
Let's 八ヶ岳!