見出し画像

「ZINEをつくりたい!」が、抑え切れない。

はじめて「ジン(ZINE)」という言葉を聞いたのは、オンラインサロン「京都くらしの編集室」の「談話会」で、主宰者の江角悠子さんがつぶやいたときだった。

「ジン、つくりたいですよねぇ」

はじめて聞いた「ジン」という言葉。当時は、「『ジン』っていうSNSがあるのかな?いろいろあるなぁ」ぐらいに思っていたのだが、どうやら「ZINE」とは紙の本のことらしい。それが、2022年2月ごろの話。

それから、約1年後の2023年1月。京都で開催された「文学フリマ」というイベントに、「京都くらしの編集室」のメンバーといっしょに訪れた。たしか「今年こそZINEを出す」と決めた江角さんが「偵察に行きましょう!」と誘ってくれたような、そんな感じだったと記憶している。

いざ、会場である「みやこめっせ」に到着したら、想像以上に広いスペースで、想像以上に来場者がいて、想像以上に活気があった。正直、圧倒された。恐る恐るブースをまわってみると、いろんな人が出店している。一番インパクトがあったのは、自分が書いた卒業論文を販売していた大学生がいたことだ。「卒論を書くモチベーションがなくて、『文学フリマ』で販売することを思いついてからやる気が出ました」と話していた。「社会に出てもたくましく生きていきそうやな……」と心のなかでつぶやいた。ほかには、年配の男性と女性のコンビも印象に残っている。百人一首に関する書籍を、複数販売されていた。ちょっと気になって立ち止まったら「2冊まとめて買ってくれたら、安くしときますよ!」と声をかけられた。衝撃的。「売り方も自由なんやな……」

そのまま20〜30分ほどうろうろして会場を出るころには、「名前も知らない大学生の卒業論文」と「抱き合わせ販売の百人一首の本2冊」のほか、数冊のZINEを買っていたのだった。なんだかよくわからない世界に迷い込んだ気がしたが、「自分もZINEをつくってみたい!」そう思った。

あの偵察のあと、「京都くらしの編集室」では、江角さんをはじめ、ZINEづくりにチャレンジするメンバーが次々とあらわれ、「京都くらしの編集室」として「文学フリマ」に5回も出店した。自分は、店番を手伝ったりしながら、出店者として参加している仲間のようすを、うらやましそうに指をくわえて眺めていたのだった。

2025年1月19日に開催される「文学フリマ京都9」。今回もオンラインサロン内で、出店希望者の募集があった。「ZINEをつくったことはないけど、参加したいです!」と手を挙げるメンバーがいるなか、今回もやっぱり自分は傍観者だった。参加表明の締切日だった11月27日も、特に気にすることなく過ぎ去った。……はずだった。

締切日から2週間以上も経過した、12月9日。突然、ZINEをつくりたい気持ちが爆発した。例えとして良いかはさておき、2年近くドロドロとしていたマグマが一気に噴火したのだ。まさにそんな感覚があった。アイデアを書き出し、台割も考えた。「締切はとっくに過ぎてるけど、カタチにしたいなぁ。ZINE、つくってみたいなぁ、つくりたいなぁ」もう抑え切れなかった。締切を守り、参加表明をしているメンバーに迷惑をかけるのは承知の上で、お願いした。出店者として参加したい、と。すると、みんな、快く迎え入れてくれた。その瞬間、「文学フリマ京都9」の出店者のひとりとして参加することが決まったのだ。「文学フリマ京都9」の日まで残り1ヶ月というタイミングだった。「間に合うのか?」という不安はもちろんあったが、それ以上に、やっとお祭りに参加できることがうれしかった。わがままを聞いてもらったからには、なにがなんでもやるしかない。そうして、はじめてのZINEづくりがはじまった。


文学フリマ京都9

  • 開催日時: 2025年1月19日(日)11:00〜16:00

  • 会場  : 京都市勧業館みやこめっせ

  • 入場料 : 無料

  • 詳細情報: https://bunfree.net/event/kyoto09/

京都くらしの編集室

いいなと思ったら応援しよう!

この記事が参加している募集