子宮の言葉
この本は、遥か昔私が書いた私小説。
30歳の時に書いた本です。
旦那さんが亡くなってから、色々な感情が溢れていた時に書いた本です。
この本は、ノートと鉛筆で書きました。
ひたすらノートを持ち歩いては、思い出しながら旦那さんと暮らした日々のことを
書き綴っていました。
暴露本を書いてください!的な事も期待されていましたが暴露って、、、。(笑)
私は優作じゃないし、自分のことしか書けない。それに、たいして暴露とかないので、その頃のなんだろう、、。
匂いとか感触かな、、。カーテンが風にどんな風に揺れてたか、近くにいた子供達のことを書きました。日常がどんなに美しかったか。
私がもし、死んだらこの本を子供達への遺書にしようとも思ってた。本気。
昔、私の大好きな友達が、お爺さんの映画監督と付き合っていた。シワシワの顔がいい。なんて気持ち悪いことを言ってた(笑)。
なんでこんなお爺さんと、付き合ってるんだろう。と不思議だったんだけど、
ある日、そのお爺さん監督が(笑)随分失礼な言い方だけど、当時私は18歳だったから仕方ない。その時の記憶。
「美由紀さん、字を書く時は、、ものをジッと見なさい。ずっと見るんです。見れば見えてくるから。それをただ書けばいいだけです。」と教えてくれた。
何故だか、その言葉が、、その後何十年ずっと記憶にあって。
この本を書く時にも、私の記憶をジッとひたすら見てただ、ただ、鉛筆を動かしてて、、。
そんな本です。
私の好きな女優の友達が、なんでこんなお爺さん監督を好きだったのか、理解できた18歳でした。
若い女性は、人にもよると思うけど、好きと言う感情は尊敬でしかない。エッチにも若い男性より興味もないし。尊敬が一番大切だった。
私はそうだった。きっと友達もそうだったんだろう。そうして書き上げた「子宮の言葉」
人生でたった一冊しか書けない本があると思ってます。
この本はその後、なん年経ってもいろんな事を私に教えてくれる。
弾むように感受性がピカピカして、今、手に取っても手のひらに言葉の光の粒が、水滴のようにひかってる。
きっと書きながら、自分の生きる目的を見つけようと、、必死でジッと見つめてたんだろうなと思います。
美しいものをみる
美しいものに触れる
美しいものだけを感じる
そうそれだけでいい。
美しいもの。を知って行きたいと強く願っていた決心みたいなものを感じます
もう一度この本を読む時、その頃の私の大切なものが蘇ってきて、不思議な感覚になります。大切なことは、昔の私が教えてくれる。
なんだか、私が私に励まされる。やっぱ言葉には魂があって。それが時代を超えても浮遊して生き続けるんだね。
ジッと見つめよう。
お爺さん監督さんが、教えてくれたこと。
これから真摯に見つめて行こうと思っています。
よろしくお願いします。