大企業の新規事業としての植物工場の落とし穴
大企業が農業を成長分野と見て、進出する場合に植物工場が選択されることが多いと感じます。
特に葉物、多くはレタル類の植物工場を選択します。
この多くが、失敗につながっているように感じます。
まず第一に、農業の生産をシステムで解決できるのだと考えてしまい、その労務管理のポイントや流通などを安易に見てしまう傾向が挙げられます。
ここで大きなポイントとなるのが、“補助金”の存在です。
特に原発立地地域や過疎地での植物工場立地には大きな補助金が設定されています。
これが収支計画上は大きなインパクトをもたらし、魅力ある計画に見えてしまうマジックを生みます。
原発立地地域や過疎地は、大消費地から遠距離になってしまい、そこからの輸送費が多く膨大になることが大きな誤算になっています。
また流通においてはバイヤーサイドの意向が強く、価格面だけでなく規格にも誤算が発生します。
例えば280g以上を1つの最低重量とすると規格されると、275gだと葉を1枚追加しなければならず、5gだけ追加することはできず、まるまる1枚の葉を追加しなければならなりません。
また一番外側の葉に少しでも赤茶っぽいい変色があると、一番重量のある大きな葉を破棄して商品化する必要があり、急激に歩留まりが悪くなります。
いくつか例を挙げましたが、それ以外にも新規事業として知らない業界に入ってしまうことの落とし穴が存在します。
ここでコンサルタントと称し、アドバイスをする人材も登場するのですが、これが当てにならないケースが多いようです。
そもそもそんな重要なポイントを理解していたのなら、自分で植物工場を運営し、成果を出してやっていればよいはずと個人的には意地悪な見方をしてしまいます。
植物工場を運営しているところに、実際の農業従事者が関与することが少なく、大学の農学部出身やシステム開発会社、種苗会社しかいないものボタンの掛け違いを生む要因だと感じます。