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そうだ!大学院にいこう![リカレント教育実践編その4:前編]

🔲なんとなくアカデミック・・・。

こんにちは、まっつんです。
久しぶりにPCで文章を打ったので、指が痛くなりました。
本当になまったものです。
ここ数回、気の向くままにリカレント教育の選択肢としての大学院進学について書いてきました。この話は、まっつんの体験を交えて書いているお話なので、数字や、制度について正確に知りたい方は、巷に数多く溢れる大学院情報をご参照願います。
世間では、現在のZ世代をコスパとタイパが大好き人間の集まりのように書かれていますが、社会人大学院生ってそもそもコスパとタイパって考えた時にどうなのでしょうね。
間違いなく、悪いと思いますよ。実際のところ。
それでも、人気の社会人大学院
その人気は日本人だけではありません。アジアから日本への留学生は、①アメリカや欧州へ留学するよりも安価に修士号を取得することができる。②帰国した時に就職が有利になる。③就学中は日本で暮らせる。
など結構メリットがあるみたいです。つまり彼らからするとコスパもタイパも良いということになるらしいです。
確かに日本でもMBAホルダーって、一昔前なら珍しい部類でしたけど、これだけ国産MBAが大量に量産される現在では、「名刺にMBAなんて恥ずかしくて書けない」という方もらっしゃいます。
まっつんも先輩から、「名刺に書くには博士号をとって初めてMBAの価値が出る」なんて言われてました。
かように日本の修士号には微妙なニュアンスが漂うのです。

🔲会社での評価 大学院卒は大学卒よりも優秀?

修士号を持っているのと、持っていなのとでは、会社で評価はどのような違いがあるのでしょうか?

転職に有利?
キャリアアップに評価される?
給料が上がる?

社会人経験者ならご承知の通り、普通の企業なら、企業で仕事をする際に学歴が加点対象として評価基準に入ることはないでしょう。
利益を追求する企業にとっては、利益を上げる人が評価対象であって、「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」ということになります。

「黒い猫でも白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」
「不管黑猫白猫,能捉到老鼠就是好猫」とは、中国共産党の指導者鄧小平に帰せられる有名な言葉であり、その考え方を猫論、白猫黒猫論、黒猫白猫論ともいう。


出典:Wikipedia「黒い猫での白い猫でも鼠を捕るのが良い猫だ」より

新卒一括採用が主流の日本企業においては、いまだに修士号の取得は、4年生大学生よりも就業期間が短い点をリスクと考えている節があります。
そもそも、多くの企業の人事部も修士号を持った新入社員にどんな仕事をさせれば良いかという答えを持ち合わせていないというのが、現実でしょう。
そのため、給与制度も四大卒の新入社員と変わらない(修士の給与制度というものが存在しない)企業も多いと思います。
厚生労働省の「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況」の「産業別新規学卒者の初任給の推移」では、大卒の男女計では修士課程修了者は、4大卒より2万円程度の差しかありません。大学院にかかったコストや修士号という高度な教育を受けた人間を雇用する対価としては見合いません。

厚生労働省「令和元年賃金構造基本統計調査(初任給)の概況」産業別新規学卒者の初任給の推移より

営業職としてではなく、理系の研究職としてはどうでしょうか?
残念なことに、理系の研究職ともなれば、博士号が標準装備として求められる世界であり、修士号がそれほど役に立つとは思えません。
これまでの日本では・・・ですけど。

🔲人的資本経営の導入でどう変わる?

人事の世界は、実は、あまりイノベーションは起きません。これまでのHR(Human Resource)の活用は、人的資源管理でした。
ざっくりいうならば、人を採用して、仕事をさせ、評価して、処遇するこの一連のサイクルをうまく回すのが人事のお仕事です。そして、企業の目的である収益を上げて、事業継続する(ゴーイング・コンサーン)には、資源である人を、安いコストで、効率よく、長期間活用する必要がありました。人を会社という場所に集めて、管理職の監視の元で効率よく作業させる。これは、20世紀初頭のテイラーの科学的管理法(Scientific Management)、テイラーシステムがその源流にあります。つまり1900年代初頭から変わっていないとも言えます。

テイラーの科学的管理法:労働の能率を向上させ労務費負担を少なくし、生産性の向上を実現する3つの手法。
1.課業管理(1人当たりの作業量を分析し、効率よく働けるかを管理する)
2.標準的作業条件(標準的作業時間を定めたマニュアルを作成)
3.差別出来高給制度(ノルマを達成した労働者の給料は高く、未達成の労働者の給料を低くする制度)

出典:一般社団法人日本経営心理士協会HPより

今、国を上げて取り組み始めた人的資本に基づくマネジメントとは、1900年から変わらぬ人事の新しいイノベーションとなるのでしょうか?(※正確には人的資源管理は、戦略人事管理というイノベーションを起こしています)
人的資源と人的資本ではどう違っているのでしょう。
これまでの日本企業における「人材」とは、「人的資源(Human Resource)」と捉えられてきました。「材」はこれに対する金銭的拠出が「コスト」となります。そのため企業は「コスト」の最小化と、「利益」の最大化を図ります。
つまり「資源」は、効率よく「消費されていくもの」であり、替えが効くというものです。
一方で、「人」を「人的資本(Human Capital)」「人財」として捉えると、「財」を増やすための教育という金銭的拠出は、「投資」となります。つまり、「人財」は「資本」であり、資本とは「価値を生み出すもの」となり、資本には投資を行うということになります。
人的資本経営では、経営課題と人材課題が一体となってきている現代における新しい経営方法として、価値創造を目的として、人財へ投資をすることで成果を上げていくことになります。
このため、これまでの日本企業のやり方として、自前主義で自社の社員教育を行う企業もアリでしょうが、まっつんの予測では、手取り早く、修士号や博士号を取得した人間の採用、もしくは、優秀な社員を選抜して、大学院へ企業派遣をする方法を採用するのではないかと考えています。
実際に、新聞でそのような取り組みを行うことを発表している企業の散見されはじています。商社などは昔から、社員を海外のMBAに派遣してきたという歴史もあります。薬系の企業でも大学院への企業派遣はあります。
大学院側も定期的な入学が望める企業派遣を歓迎するところも出てきているのです。

🔲まとめ

海外では収入に直結している修士号や博士号も、日本では、なんとなくアカデミック的な微妙なニュアンスで扱われている。
会社での評価も学位ではなく、仕事の成果であって、給料への反映も2万円程度の差しかない。
人口増加が前提になっているこれまでの日本企業では、人材は、資源となる。つまり「材」であるため、消耗したら補充・交換が容易にできると考えられ、人材への教育というコストは最小限にし、そこから最大限の利益を引き出す「人的資源(Human Resource)」という扱いであった。ところが、少子高齢化など、就労人口が減少する前提に立つことで、人を「人財」として捉える「人的資本(Human Capital)」が提唱され始めた。「資源」であれば、資本であり、「価値を生み出すもの」として「投資」による価値創造が考えられることになる。
しかし、日本を代表する大手商社や薬系の企業のように、企業派遣で大学院への入学を支援するまでの動きには至っていない。
まっつんは、今後、横並び大好きな日本企業が、てっとり早く、人的資本経営をアピールするために、修士号や博士号を持っている社員、または、大学院生の採用に動く可能性を感じている。そして「人的資本経営」は、人事部の滅多にないイノベーションになるのではないかと考えている。
なんだか、お話が長くなりそうなので前編とします。

以上、今回は「そうだ!大学院にいこう![リカレント教育実践編その4:前編]「なんとなくアカデミック・・・。」を書いてみました。
最後までお読みいただきありがとうございます。
少しでも皆様のお役に立てれば幸いです。
次回もよろしくお願いします。

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