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JK娘に学ぶ 自分軸と別腹
娘が高校部活を引退した。
おつかれさん。
入部当初は帰宅そうそう泣き崩れることもあった。強豪校、大所帯。そりゃ雨あり雷雨あり、まさに青春ってやつだ。
娘はもともと学校が得意なタイプではない。好きなこと(部活)をやるために仕方なく学校へ通ってるんだと言っていた。親として「それでいいのか?」とも「それ最高じゃないか?」とも思う。だからどっちでもいいっていうことだ。
そんな娘が部活内でオカンと呼ばれ頼りにされていたと聞いて驚いた。
え?
ウチの末っ子がオカンですか?
どうやら部活や学校生活がしんどくなった仲間の相談役になっていたらしい。複数の保護者の方から「おかげで退部を思い止まった」「学校へまた行けるようになった」と言われ私はそのことを初めて知った。部活でつまづくと学校生活まで難しくなる状況があったようだ。
部活のためだけに学校へ行っていると言っていた娘も、こういうことと隣り合わせだったということ。
色々あったんだろうな。
どんなオカンをやってたんだろうか。
気になって娘に聞いてみた。
しんどそうな子とLINEや手紙、時に一緒に出かけたりしてコミニュケーションをとっていたとのこと。
へー。
どんな話をしたの?
「大したこと話してない。人を動かさないで自分を動かそうよ、とやんわり伝えた気がする」
なるほど。
「みんな周りを気にしすぎだから」
うん。
「全員マジで考えてること違うよ。納得いくわけなくない?しんどくない?」
たしかに。
「みんなが自分の100%を出せるような部活にしたかった。それぞれの100%、それが合わさったら最強ってことだから」
カッケーな、おい。
「あ、でもこういうことは絶対に言わない。ただの私の考えだから。基本的にみんなの話を聞いてただけ」
あ、そうなのね。
でも、思いを受け止めるのってけっこうパワーがいるよね。
「は?受け止めないし」
え、そうなの?
「別腹に入れとくだけだし」
べ、べつばら?
「自分とは違う感性の人が現れたら丸ごと別腹に入れる。咀嚼しようとしたらダメ」
なるほど。
いや、別腹って美味しいスイーツなら満腹でもまだ入るわ!みたいな意味なんですけど。使い方、違くね?
「ま、他人事ってこと」
げ、なんてこと言うの、オカン。
「人と自分を混同しないってこと」
そういうことね。
あー、びっくりした。
さっきから言葉のチョイスにドキドキするんですけど。
「私は私の100%を出すだけだし」
だね。
娘がどんなオカンだったのか、わかったようなわからんような、
冷たいような包容力あるような、
浅いような深いような、
まあ、それでいいか。
使い方を間違えてる「別腹」や「他人事」という言葉も、よく考えると的を射てるかも。
他人軸ではなく自分軸で生きるってことだもんね。
オカンてさ、
子が周りに流されそうになった時、向かう方向は自分で決めていいのよって、流れを遮って泳ぎやすくする盾の役割があるのかも。
振り返ると、誘導しようとしたり先に浮具やボートを与えようとしたりしてたなと、オカンのオカンは反省しとります。
家で好き放題の自由星人の娘がオカンとはねぇと長男ともしみじみしてしまった。
昔から妹のことが心配でならない長男。逞しくなった妹を知り、ちょっとだけ淋しそうだった。
それな。