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計算の特訓より「これで買えますか」って聞ける力の方が大事

とある日にとある特別支援の先生から聞いた言葉。

その日は、特別支援学級の子どもたちが、算数の学習で買い物の練習をしていた。

特別支援の子どもたちは、学力をつけることではなく、社会で生きていくための力を身につけることを大事としている。

買い物は生きていく上で大事なことだから、算数でお金を活用することはいいことだ。

でも、実は買い物の中には多くの壁が存在する。

まず、買いたいものが、自分の所持金で買えるのか確かめる必要があること。
複数の商品を買う場合は、合計額を見積らなければいけない。
でも、この見積もりという作業がなかなかに厄介。
税抜なのか税込なのかによっても変わってくる。

そして、支払い。
どのお金をどのように組み合わせて払えばいいのか、これもまた大きな壁だ。
10円が10枚で100円、100円が10枚で1000円、これすらもわからない小学生が意外といるから、小学生にとって買い物はかなりハードルが高い。
特別支援の子どもにとってはなおさら。

「何が買えるの?いくら出せばいいの?お父さんお母さん先生、代わりにやって!」
そうなりますよね。
算数の世界では、こうならないためにひたすら繰り返し計算問題や文章問題を解く。

でも、今の世の中は便利ですね。
カードやらPayPayやら、お金に触ることなく支払いができる手段もあるのです。
これがあればなんということでしょう。
予算内に収めなければいけないというハードルはあるものの、煩雑なお金のやり取りがなくなります。

キャッシュレス化がこのまま進めば、このようなお金の学習も将来的には無くなっていくのでしょうか。
未来の子どもは、現金を触ることすらも経験しなくなるのでしょうか。

それはそれとして、このように将来必要になる力はなんなのかが読めなくなっている現代。
その先生は言っていた。
「お金の学習を繰り返すよりも、困った時にレジで持っているお金をじゃらっと出して、『これで買えますか』と聞ける力、この力をつけることのほうが大事」だと。

確かに。
一つ一つの壁を乗り越えるための知識やスキルを身につけておくことは大事だけど、困った時に聞けるようにしておくこと、その力の方が生活の中でどれだけ役に立つか。

1人でできることなんてたかが知れてる。
困った時の頼り方、頼れるような人間関係を築くためのソーシャルスキル。
それを身につけておくことの重要性を、ふっと感じた瞬間でした。

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