アラフィフ女性、ヒサンな転職活動のリアル ⑰ 雇用形態にこだわらず「働く」ということ
この1年、転職活動を続けてきたが、結局「心から働きたい」と思う職場は見つからず、応募した企業からはことごとく「ノー」を突きつけられ、ときには本当に絶望してうつ病に近いところまで沈み込んでいたが、今日もこうして元気に生きている。まずはそれを幸いと思うことにする。
「年齢に負けまい」と思ってはきたものの、「やっぱり若い頃とは違うな…」と認めざるを得ないのは、自分を取り巻く問題の変化である。
キャリアや自己実現よりも、親の介護問題や、自分の体調および体力の問題が大きく重くのしかかってきて、「フルタイム勤務、無理かも…」と、急速に弱気になってしまった。
そんなわけで、この数ヶ月、悶々と日々を送っていたのだが、先日、かつて仕事で付き合いのあった人から、「知人のベンチャー企業を手伝ってみませんか?」と声をかけられた。
とりあえず代表を務める方に話を聞いてみたところ、まだ創業間もない上、社員もおらず、先行きが非常に不安な会社。
「あまりお支払いできないんですけど…」と、申し訳なさそうに言われた。
だが、会社のビジョンにはとても共感できた。
「お金のためではなく、何か意義のあることをやってみたい」。そんな若者めいた考えが不意に湧いてきた。
業務委託&在宅勤務なので、自分のペースで仕事ができ、介護との両立も可能。まあ、手伝うくらいなら…と、お引き受けすることにした。
かくして、来年から当面のあいだは、そのベンチャーの仕事と、もう一つ自宅でできる仕事の二本立てでやっていくことになる。
もちろん、また状況が変わり、機会があれば、企業に勤めて働くかもしれない。でもこれからは、正社員とか派遣社員とかフリーランスとか、雇用形態にこだわらず、やりがいを感じられる仕事に関わっていきたいと思うようになった。
何か新しいことを始めれば、新しい景色が見えてくる。
そこで出会う人や物を大事に生きていれば、きっと道は拓ける。
拓けなかったとしても、それはそれでいいじゃないか。
正直、現時点では、フリーランスという働き方が自分に合っているとは思えない。理由は色々あって、その対処法については改めて考えをまとめたいと思っている。
それでも、働く時間や場所の自由度が高いことは、間違いなくメリットなので、それを活かした働き方を模索していきたい。
会社員だった頃は「仕事」を中心に人生を組み立てるしかなかったけれど、これからは、「自分の生き方」、「自分の生活パターン」を中心に据えて、そこに「仕事」を当てはめていこうと思う。
考えてみると、会社員時代だって本当はそうすべきだった。仕事ばかりにかまけて、自分の生き方をないがしろにする生活は、長く続ければ続けるほど、いろんなところに弊害が出てくる。それを見ないふりして生きるうちに、大切なものを大切だと感じる能力が衰えてしまう。
「失業したおかげでそれに気づくことができたのは幸いだった」と、思うことは簡単だ。そのほうがずっと気持ちは楽になる。
でも本当は、「会社員のときにそれに気づいて正しいバランス感覚を取り戻し、働き方を見直す」ことができれば、いちばん良かったのだろうと思う。
それはとても難しいことだと分かっているけれど。