劣化油と体内の話(2) 消化の基本、胃と十二指腸
油を消化するために体内ではどんなことを行うのでしょうか。
劣化油の前に体内での基本的な消化分解の理解を深めます。
外食した後に腹痛…。
そんな経験を何度もするうちに「油が原因?」と思うようになり、もちろん断定はできませんが、それがきっかけで「劣化した油はなぜ体に悪いのか」に興味を持つようになりました。
経験的には知っているけど、なぜ?と聞かれたら答えられません。
そこで、油と体をテーマに体内では一体どんなことが起こっているのかに迫っております。
油は体内でどう分解されるのか
胃で起こること
体内でまず到達する臓器は胃。
しかし、胃では油(脂質)をほとんど分解しません。
食べ物は全部胃で消化されるものだと思ってましたが、そうではありませんでした…。
食べ物の中に含まれる三大栄養素、炭水化物(糖質)、脂質、タンパク質のうち主にタンパク質が胃の中で消化分解されます
毎分3回くらいのペースでゆったり休みなく蠕動運動を繰り返すんですね。
強酸である胃液とこの蠕動運動を繰り返すことで食べ物を粥状に溶かします。
この運動は消化された食べ物を次の腸へと進める役割も担います。
次の腸は十二指腸…。
どんな腸かピンときますか?
正直ぼくはこの腸の存在をすっかり忘れてました…。笑
この臓器もとっても大事な臓器。
それはこの十二指腸内で脂質が消化されるからです。
忘れちゃいけない存在でした…。
十二指腸でおこること
十二指腸は胃を抜けた直後の腸であり、指12本並べたくらいの大きさだからそう呼ばれるとのこと。(実際はもうちょっと長いらしい)
ここには肝臓と膵臓がつながっています。
十二指腸に食べ物が着くと消化管ホルモンが分泌され肝臓と膵臓が動き出します。胃では胃酸分泌が抑制されます。
肝臓は胆汁という液体を十二指腸に送り出します。
胆汁は肝臓内にある胆のうという器官に貯蔵された液体。これが脂質の消化を手助けします。
膵臓はすい液という液体を十二指腸に送り出します。
このすい液は食べ物を分解する役割と、胃液で酸性となった食べ物を中和したりする役割を担います。
膵臓は胃の裏側に位置しますので図上では一部点線にて記載しています。
では胆汁とすい液は何を行うのか。
胆汁は「脂質の乳化」を行います。
身近なもので言えばドレッシングやマヨネーズなんかが乳化をうまく利用したものですね。
また食器用洗剤は乳化作用によって油を落としやすくしています。
同様に体内に入った脂質も乳化させた方が消化しやすいということなんでしょうね。
すい液は消化と胃酸の中和を行います。
その中には消化酵素が含まれており、それによって脂質の消化等を行うんですね。また、すい液は弱アルカリ性の成分でもあるので、胃酸によって酸性となった食べ物を中和させています。
劣化油によるトラブルの可能性
ここまで胃と十二指腸の動きを見てきましたが、この中で劣化油が影響して起こりえそうなトラブルを考えてみました。
あくまでも僕の想像です。
胃の中で起こりそうなこと
胃酸との化学反応。
胃の粘膜と油が触れることで起きる化学反応。
油の長時間滞在による影響。
十二指腸で起こりそうなこと
胆汁またはすい液との化学反応。
肝臓になんらかの影響を及ぼす
膵臓になんらかの影響を及ぼす
こんなことが考えられました。
次回予告
ひとまず、これらの候補は置いておき、十二指腸で消化分解されたものが次はどうなっていくのかを見ていきたいと思います。
次回に続く。
***
写真:ストックフォト
イラスト:まと。
ここまで読んでいただきありがとうございます。
水と油は混じり合わない。あいつとは絶対仲良くできないと思っても、間に誰かが入ってくれるとなんとかなる。そんな存在の人っていますよね。誰にでもフラットに接せれる人すごいですね。
【参考文献】
NIKKEI STYLE
空腹のときにこそ胃は働く
田辺三菱製薬
脂肪で胃がもたれる仕組みと、胆汁酸の役割
三丸機械工業
乳化の原理とはどんなもの? 仕組みや用途を解説!
日本食肉消費総合センター
脂肪はどのように消化・吸収される?