『ある小さなスズメの記録』 クレア・キップス
この本は、かわいらしい本で。本当に読み終わるのがもったいなくて、本当にゆっくり読んで、遠出する度に持っていって少しずつ読んだ。この本と一緒に、沖縄のブセナビーチも行ったし、お台場のダイバーシティも行った。いろんな思い出の中に、このスズメが飛んでいる。
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ある雨の日に京都から大阪まで、阪急電車で行くのに、本を持っていなくて。でも、その日は大阪で一日予定があるので、携帯の充電を使いすぎてしまうのも気にかかって。駅の上の本屋さんで、急いで調達した本だった。決め手は翻訳が梨木香歩さんだったから。
その日は、大阪梅田駅に着くまでに、ちょうど第一章が読み終わったのだけれど、電車を降りながら、江國香織さんの「ぼくの小鳥ちゃん」を思い出した。それは、私の人生に、鳥があまりいなくて。人間の生活の営みの中にいる鳥というものが、それくらいの引き出ししかないからだと思うのだけど、本の中にしかいないからこそ、小鳥あるいはスズメはとても私の中で好ましい存在であり、かわいらしくて仕方がない。
あとは、病気のスズメの特効薬がシャンパンだというエピソードも、すごい江國さんぽかったからかもしれない。まだお酒が飲めなかったころに初めて「きらきらひかる」を読んで、大人になったら絶対シャンパンマドラーを買おうと思っていたのを思い出した。もう大人なので、安物のシャンパンこそ泡が沢山たつことを知っているので、持っていないのだけど。
これからも、1人で移動するのが寂しいような時に、持ち歩こうと思う本だった。
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