読書日記(2024/07/22)
ここ数ヶ月の間に、通読できた本が2冊あります。
最近は読書の時間を取ることもままならず、図書館で本を借りては読めずに返してしまうことも多かったのですが、
割とスラスラ読めてしまう本に出会ったのと、先日奇跡的に子どもたちが同時に昼寝をしたことで通読できました!
育児本や園芸系の雑誌にパラパラと目を通すくらいだった最近の読書生活で、通読できたのは久しぶりのこと。少しばかりですが達成感で心が喜んでいます。
今回読んだ本2冊は、どちらも愛すべき故郷であるびわ湖(滋賀)が舞台となっている話題作。
読んでくれる人が増えれば嬉しいという想いもあって、今回noteに記録してみることにしました。
「母という呪縛 娘という牢獄」
こちらは、2018年に滋賀県守山市で実際に起こった殺人事件の犯人の手記にあたる本。
…手記にあたる、というのは、実際の著者はジャーナリストの方で、現在服役中の犯人との手紙のやり取りや面会での会話そして取材を通して、当時の捜査の様子や犯人の状況、思い、考えていたこと、裁判での様子や経過、判決などをまとめた作品だから。
著者も手記のようなものになったと書いている(たと思う)。
ノンフィクションの作品なので、描かれている母娘が実在し、滋賀県の守山で生活していたのだと思うとぐっと感情移入できたし、背筋が冷たくなるようでした。
当時、守山で女性のバラバラ死体が発見されたというニュースに驚いた記憶が鮮明に残っているから。
殺人犯である娘と被害者であるその母親の事件までの生活や事件後の娘の生活を、リアルに、直ぐそこに感じながら一気に完読できました。
この母娘の関係性は割とありふれている。
私も担任をしているとこういう母娘に遭遇します。
大なり小なり子は親から抑えつけられて生きていますが、思春期に色んなものと出会って力をつけて親を跳ね飛ばして自分の人生を生きていけたらgood。
でも、過度な抑えつけ(いわゆる虐待)をする親からはやはり逃れにくいし、本人の性質もあるんだろうけど、良い出会いが訪れない事だってある。
犯人がしていることは、悪いことだし、絶対にしてはいけないことだけど、責めきれない。
同情する気持ちが強く湧いてくる。
周りのサポートでこの事件が起こらないようにできたのでは…と考えさせられる作品でした。
「湖の女たち」
私は作家で本を選ばない方だと思う(宮本輝氏を除いて)。
でも、同じ作家の作品で心が揺れることが多々ある。
またこの人か、という感じ。
作家さんが上手なのもあるのだろうけど、きっと相性も良い。
映画化されている話題作はあまり読まないけれど、琵琶湖(滋賀県)が舞台と聞いたら俄然興味が湧いてくる。
この本を手に取ったのはそれが理由だった。
現代のどこか暗いものが押しつぶされて澱んでいるような、そんな雰囲気の作品だった。
歪みができてちょうど歪みの大きくなった部分にいる人が、病んでいくような。
きっと現実にも起こっているんだろうなと、そう感じさせる。
もしかして、そんな現実に目を向けてみてって言ってるのかなとも思った。
内容は、琵琶湖を臨む介護施設で100歳の老人が亡くなり…というよくあるミステリー。
でも終盤まで絶望的な気持ちを味わわされる。
残りの4ページかそこらくらいで希望の光が差し始め、よかった!この暗い絶望的な気持ちのまま終わるんじゃなくて!と胸を撫で下ろして読了。
こう書いてしまうと、目の肥えた百戦錬磨のミステリ好きはネタバレ!もう読む価値なし!と思ってしまうかも(?!)だろうけれど、
私はこの作品の本質はミステリにはないと思う。(ので書きました)
この歪んで澱んだ現代が抱える闇みたいなのが、この作品の骨格なのかなと。
子どもたちが健全な心で育てるような社会を作っていかないと!と思いました。
著者の吉田修一さんは「悪人」も読ませていただいたけど、地元っぽい描写がなんとも引き込まれる。
「悪人」では、逃亡する犯人と女が佐賀の呼子で烏賊を食べるシーンがあって、それが何とも美味しそうで…
食べたい!と思って、食べにいったのを思い出します。
今回の「湖の女たち」は滋賀の名産食べたい!ってなるシーンがなかったのが残念でしたが、ロシア料理は食べたい!ってなりました。ボルシチ。
「悪人」もそうでしたが、歪みに嵌った人の心理描写がリアルで魅力的です。
以上
最近読んだびわ湖を舞台にした本の記録でした。
故郷を舞台とした良き作品が生まれてきてくれたこと、本当に嬉しいです。
またびわ湖縛りで本探してみようかな。
皆さまもぜひ読んでみてください♪
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