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大阪王将と数学の話(指数行列編)
自己紹介
僕は大阪大学で学生をしている。普段はTwitter(@Mathmeganekun)で自由に発言させてもらっている。
今回のヘッダーは東京国際フォーラムの横のシェイクシャックの店内。
夜の国際フォーラムはとても綺麗なので観光の際はぜひ。
途中からは数学の行列について書いた。
最後の方は正方行列の0乗が単位行列になる話を書いた。
大阪王将の話。
ご飯の話を書く。
最近ラー油にハマってる。
辛いものは苦手。
すぐ汗が出る。
メガネがずれる。
これも父からの遺伝。
卵とラー油の組み合わせが良いことに気づいた。
きっかけは大阪王将の天津飯。
阪大の最寄駅の石橋阪大前には大阪王将が3つぐらいある。
京都王将より大阪王将派。
大阪王将で一番好きなメニューは天津炒飯。
ラー油とお酢を天津飯にかけてみた。
意外とマッチした。
その3日後も食べに行った。
卵かけご飯にもラー油をかけるようになった。
卵は目玉焼き派。
卵を割って蓋をして完成。
また天津飯を食べに行こうと思う。
短い話。
本題
こっちが本題。
ネイピア数$${e}$$の乗数を行列にしたらどうなるのかが気になった。
そんな話を書く。
$${e^x}$$のマクローリン展開は次のように書ける。
$$
e^x = \displaystyle\sum_{k=0}^\infty\displaystyle\frac{x^k}{k!}
$$
この式中の$${x}$$を正方行列$${A}$$に置き換えると$${e}$$の行列乗を表現できる。
$$
e^A =\displaystyle\sum_{k=0}^\infty\displaystyle\frac{A^k}{k!} = I+ \displaystyle\frac{A}{1!} + \displaystyle\frac{A^2}{2!} +\displaystyle\frac{A^3}{3!} + \text{\textellipsis}
$$
これだけの話といえばこれだけの話。
問題になるのが行列$${A}$$の◯乗である。
行列のべき乗は計算量が膨大になってしまう。
ここで線形代数の対角化を用いる。
対角化というのは正方行列を対角成分のみでその他が0の行列に変換する操作である。
例として以下の行列$${B}$$の対角化を考える。
$$
B= \begin{pmatrix}
1 & 2\\2 & 1
\end{pmatrix}
$$
このとき、以下の行列$${P}$$を用いると$${P^{-1}BP}$$は対角行列になる。
これが対角化である。
$$
P= \begin{pmatrix}
-1 & 1\\1 & 1
\end{pmatrix}
$$
$$
P^{-1}BP= \begin{pmatrix}
-1 & 0\\0 & 3
\end{pmatrix}
$$
対角行列は◯乗されるとそれぞれの成分が◯乗されるという性質があり、指数行列の計算で大きく役立つ。
例えば、上の例を3乗した場合。
$$
(P^{-1}BP)^3= \begin{pmatrix}
(-1 )^3& 0\\0 & (3)^3
\end{pmatrix}
$$
また、$${J=P^{-1}BP}$$とおくと、$${J}$$は対角行列であり、$${B=PJP^{-1}}$$となる。
これもまた嬉しいことである。
例えば、$${B^3}$$を考えてみる。
$$
B^3= (PJP^{-1}) \cdot (PJP^{-1}) \cdot (PJP^{-1}) =PJ^3P^{-1}
$$
ここで重要なことは、$${P^{-1}P = I}$$(単位行列)となるため両端の$${P,P^{-1}}$$以外無視できることだ。
そして、$${J}$$は対角行列であるため◯乗を簡単に計算できる。
これまでの議論をまとめると、$${e^A}$$のマクローリン展開は以下のように書ける。
$$
e^A = P (I + \displaystyle\frac{J}{1!} + \displaystyle\frac{J^2}{2!} + \text{\textellipsis} )P^{-1} =Pe^JP^{-1}
$$
次に$${e^J}$$について考える。
$$
e^J = I
+
\begin{pmatrix}
-1 & 0\\0 & 3
\end{pmatrix}
+
\displaystyle\frac{1}{2!}\begin{pmatrix}
(-1 )^2& 0\\0 & (3)^2
\end{pmatrix}
+
\displaystyle\frac{1}{3!}\begin{pmatrix}
(-1 )^3 & 0\\0 & (3)^3
\end{pmatrix}
+
\text{\textellipsis}\\
$$
ここで、$${e^x}$$のマクローリン展開の逆の操作を行うことで綺麗に整えられる。
$$
e^J=\displaystyle\begin{pmatrix}
\displaystyle\sum_{k=0}^\infty\displaystyle\frac{(-1)^k}{k!} & 0\\0 & \displaystyle\sum_{k=0}^\infty\displaystyle\frac{3^k}{k!}
\end{pmatrix} =\displaystyle\begin{pmatrix}
e^{-1} & 0 \\ 0 & e^3
\end{pmatrix}
$$
これで完成。
$${e^x}$$のマクローリン展開をうまく作用させることによって一見複雑なものも簡単に表せる。
最初、線形代数で対角化を習った時は使い道があまりよくわからない。
しかし、対角行列がべき乗されるといった場面では重要な操作となるのである。
正方行列の0乗について
この記事を書くにあたって一つに気になったことがある。
$${e^A}$$のマクローリン展開の第一項が単位行列$${I}$$であること。
0乗したら対角成分だけが残ってその対角成分が全て1になるということ。
これは正方行列$${A}$$の0乗が単位行列になることを意味している。
この証明は意外と簡単にできる。
正方行列の0乗が単位行列になることの証明
正方行列$${A}$$がある行列$${P}$$を用いて対角化可能であるとする。
このとき、$${J = P^{-1}AP}$$とおく。
$${A = PJP^{-1}}$$であり、$${n}$$を0以上の整数であるとすると、$${A^n =P^{-1}J^n P}$$となる。
ここで、$${n=0}$$を代入すると、
$${A^0 = P^{-1} I P= I}$$(単位行列)となるため、正方行列の0乗は単位行列であることが示される。
最後に
珍しく真面目な内容について書きました。
数学の記事もたまには書きたいと考えています。
乗数に行列を置く発想がすごいですよね。
物理だと$${e}$$の乗数に微分演算子$${\displaystyle\frac{\partial}{\partial t}}$$が出てきたりします。
これも今回と同じようにマクローリン展開してあげることで微分演算子の足し算に直したりできます。
読んでくださりありがとうございました。
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普段はもっとゆるい内容を書いているのでぜひそちらも読んでくださると嬉しいです。
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