Vol.2 2重根号、その2


Vol.1で出題した問題の、私の解答解説

問題その1、問1

$${\sqrt{17+2\sqrt{70}}}$$ について、この式の形は2重根号と言うものであった。

 これを2重根号では無い簡単な式にするには、外側の根号の中を次の因数分解の公式の形、

$$
a^2 + 2ab + b^2 = ( a + b )^2
$$

に落とし込んで平方の形にし、$${\sqrt{A^2}=|A|}$$ ( $${ A }$$ は実数 )の性質により、外側の根号を外して2重根号で無い形にするのだった。よって、

$$
\begin{array}{lll}
\sqrt{17+2\sqrt{70}} &=& \sqrt{(\sqrt{7})^2+2\sqrt{7}\sqrt{10}+(\sqrt{10})^2}\\
&=&\sqrt{(\sqrt{7}+\sqrt{10})^2}\\
&=&|\sqrt{7}+\sqrt{10}|\\
&=&\sqrt{7}+\sqrt{10} \ \ \ \ \ ( \ \because{\sqrt{7}+\sqrt{10}\ge0} \ )
\end{array}
$$

 故に、$${\sqrt{17+2\sqrt{70}}\ =\ \sqrt{7}+\sqrt{10}}$$ となる。確かに両辺とも2乗すると$${17+2\sqrt{70}}$$ となる正の数であり、表現は異なるが、全く同じ値である。

問題その1、問2

$${\sqrt{8-2\sqrt{15}}}$$ について、問1の解き方と同じ様に進めると、

$$
\begin{array}{lll}
\sqrt{8-2\sqrt{15}} &=& \sqrt{(\sqrt{3})^2-2\sqrt{3}\sqrt{5}+(\sqrt{5})^2}\\
&=&\sqrt{(\sqrt{3} - \sqrt{5})^2}\\
&=&|\sqrt{3} - \sqrt{5}|
\end{array}
$$

 ここで実数 $${A}$$ が負の値の場合、$${ |A| = -A }$$ となるので、

$$
|\sqrt{3} - \sqrt{5}| = \sqrt{5} - \sqrt{3}
$$

 であり、故に $${\sqrt{8 - 2\sqrt{15}}\ =\ \sqrt{5} - \sqrt{3}}$$ となる。確かに両辺とも2乗すると$${ 8 - 2\sqrt{15} }$$ となる正の数である。これも両辺のその表現は異なるが、全く同じ値である。

 さて、2重根号の状況とは(外側の)根号の中が無理数の状態であると言える。Vol.1、Vol.2と進めてきたことは、根号の中が無理数であったものを、そうで無く「式に現れる根号の中が有理数の状態にして、より分かり易く簡潔な表現にした」とも言える。


 この記事で取り上げた $${\sqrt{17+2\sqrt{70}}}$$ や $${\sqrt{8-2\sqrt{15}}}$$ は、内側の根号に2倍の意味である"2"が付いているので、外側の根号の内側を $${a^2 + 2ab + b^2}$$ の形に落とし込みやすいものと思う。

 その格好での出題は、練習問題用にその様にしてあるものと思って良いかもしれない。内側の根号を2倍した格好になっていない2重根号の方が、より一般の形と言える。

 その場合は、2で割る事でその根号が2倍となる格好にしたり、根号の中に2の2乗を見出すことで、その根号が2倍となる等々の方法がある。

 これについては、恐らく高校数学の教科書や教科書傍用問題集、学習参考書等にそのような練習問題があると思うので、それらに譲ろうと思う。


問題その2

 休憩は大切です、御茶でもどうぞ。牛乳でも良いかもしれません。


今月の問題

問題、その1

 7、9、1024 は、それぞれ 2 の何乗となるか? 常用対数表を使って見積もってみよう。

問題、その2

 休憩しましょう。


 マガジン「高校数学1ミリメートル」の次回の更新は9月中の予定です。次回も宜しくお願い致します。


初稿 2023年8月14日


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