Vol.6 積分1ミリメートル その2
1. 計算結果が1になる定積分の式の例、その2
原点を通る放物線の場合
$${ y=x^2 }$$、$${ x }$$ 軸、直線 $${ x= t ( >0) }$$ で囲む面積が $${ 1 }$$ のとき、$${ t }$$ の値を求めると、
$$
\begin{array}{lll}
\displaystyle \int_{0}^{t} x^2 dx &=& \dfrac{1}{3}\Bigl[ x^3 \Bigr]_0^t \\ \\
&=& \dfrac{1}{3} ( t^3 - 0 ) \\ \\
&=& \dfrac{1}{3} t^3 \cdots(1)
\end{array}
$$
この (1) の値が $${1}$$ になると良いので、
$$
\dfrac{1}{3} t^3 = 1 \therefore t = \sqrt[3]{3} \approx 1.442
$$
結局、$${ y=x^2 }$$、$${ x }$$ 軸、直線 $${ x= \sqrt[3]{3} }$$ で囲む面積が1 となる。
そしてその面積 1 の定積分の式は、
$$
\displaystyle \int_{0}^{\sqrt[3]{3}} x^2 dx = 1
$$
となる。
定積分の値が分かるが、その定積分の上端が直ぐには分からない場合、そこを未知数にして求めると良い。
定積分の値が 2 の場合でもこうして求める事が出来る。計算結果 (1) を用いて、
$$
\dfrac{1}{3} t^3 = 2 \therefore t = \sqrt[3]{6} \approx 1.817
$$
となる。よってその定積分の式は以下のようになり、
$$
\displaystyle \int_{0}^{\sqrt[3]{6}} x^2 dx = 2
$$
$${ y=x^2 }$$、$${ x }$$ 軸、直線 $${ x= \sqrt[3]{6} }$$ で囲む面積が 2 となることが分かる。
対数関数の場合
対数関数 $${ f(x)= \ln{x} }$$ の定積分の値が 1 の場合、その下端が 1 のときの上端の値 $${ t ( > 0 ) }$$を求めると、
$$
\begin{array}{lll}
\displaystyle \int_{1}^{t} \ln{x} dx &=& \Bigl[ x \ln{x} \Bigr]_{1}^{t} - \displaystyle \int_{1}^{t} dx \\ \\
&=& \ t\ln{t}\ -\ \Bigl[x\Bigr]_{1}^{t} \\ \\
&=& t\ln{t}\ -\ t\ +\ 1 \cdots (2)
\end{array}
$$
(2) の値が 1 となれば良いので、
$$
t\ln{t}\ -\ t\ +\ 1 = 1
$$
$$
t\ln{t} = t
$$
$$
\ln{t} = 1 ( \because t \ne 0 \because t > 0 )
$$
$$
\therefore t = \mathrm{e}
$$
となる。よってその定積分の式は以下のようになり、
$$
\displaystyle \int_{1}^{\mathrm{e}} \ln{x} dx =1
$$
$${ y=\ln{x} }$$、$${ x }$$ 軸、直線 $${ x= \mathrm{e} }$$ で囲む面積が 1 となることが分かる。
問題、その2
私の解答解説?
どうも最近山羊乳の事が気になる。温室効果を促進するメタンガス濃度の高い牛のゲップについて、ちらほら報道で見かけるようになって以来である。
牛のゲップを減らす餌や飼育法が研究されていくだろうが(薬剤の開発や牛の品種改良もあるだろうか?)、同時に山羊乳も注目を集めるかもしれないからである。山羊乳生産の普及とコストダウンも始まるかもしれない。
(牛乳と山羊乳の競争になるだろうか?両者は棲み分けられるだろうか)
先日、全く別の件で出かけていると、突然目の前に山羊乳専門店が現れた。それは札幌市の地下街オーロラタウンに見つけたというか、気が付いた。
普段、度々歩いて通る場所にあるのに「こんなお店有ったか?」と意外な気持ちになった。
( 余談だが、これをセレンディピティと云うのかもしれない。山羊乳に全く関心のないときには気にも留めていなかった。そのお店の前を通っていても、私の意識の中では、そのお店は無いことになっていたのかもしれない。強い関心を持ち始めると、たとえ他の事をしていても、普段は目に留まらなかったものを急に見つけたり気が付いたりすることがあるらしい )
そのお店は一体何時からそこに在ったのだろうか?
(また大袈裟に書いてしまった。セレンディピティの説明はこれで良いのだろうか?)
(この「問題その2」の「私の解答解説」は、PDF版ではカットの予定でありますので御了承下さい)
今月の問題
私の出題にお付き合い下さい。
問題その1
唐突ではあるが、正弦関数と余弦関数の合成の式を導出せよ。
(本当に唐突かもしれず、何だか申し訳ない)
問題その2
正月休み明けでしょうから、七草粥でも召し上がって、ゆっくり休憩しましょう。
私事ですが、またしても年賀はがきに「新年明けましておめでとうございます」と書いてしまいました。この意味するところは「新年が終わってしまって、おめでとうございます」という事だそうです。そんな私です。
(本年も、どうぞ宜しくお願い致します。)
マガジン「高校数学1ミリメートル」の次回の更新は、令和6年2月29日迄に致す予定です。
そう言えば今年はオリンピックのある年です。早朝に開催された東京オリンピックのマラソン中継のヘリコプターの音にたたき起こされた記憶を懐かしんでおります。
次回も宜しくお願い致します。
初稿 2024年1月 6日
高校数学1ミリメートル
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