CAPMとは【経済用語をやさしく解説】
この記事の主な内容
CAPMとは
CAPM(資本資産価格モデル)とは、個別のリスク資産とマーケットポートフォリオの期待超過収益率の関係が変数βを用いて説明できることを表すモデルです。マーケットポートフォリオとはTOPIXやS&P500といったインデックスのように網羅的にマーケットのリスク資産を時価総額に応じて組み入れたポートフォリオです。
E(Ri)=Rf+βi[E(RM)−Rf]
E(Ri)は資産iの期待リターンです。また、E(RM)はマーケットポートフォリオの期待リターン、Rfは安全資産(主に国債)の期待リターンです。また、βiはデータより決定される資産iのベータ係数と呼ばれる値です。
E(Ri)−Rf、E(Rm)−Rfをそれぞれ資産iとマーケットポートフォリオの期待超過収益率と呼びます。期待超過収益率は安全資産に投資した場合と比べて投資対象がどれくらい多くの収益を平均的にもたらすかを表します。期待超過収益率を用いて、CAPMの式はE(Ri)−Rf=βi[E(RM)−Rf]という風に変形できます。
このようにCAPMはβを用いてマーケットの期待超過収益率から個別銘柄の資産収益率を決定できるため、重要です。資産の期待リターンはβで表す各資産のマーケットポートフォリオに対する感応度を用いて計算できるので、資産がマーケットポートフォリオの中に組み込まれている限り期待リターンが計算可能です。
CAPMの仮定
CAPMの結果は合理的な市場参加者によるポートフォリオの最適化をモデル化することによって得られます。投資家(市場参加者)は同じリターンに対しては、ポートフォリオに内在するリスク(分散)をなるべく低くしたいと考えています。また、同じリスクを持つポートフォリオ間ではなるべくリターンが大きいポートフォリオを選択したいと考えます。このように、投資家の平均(リターン)と分散に関する効用を考えることでCAPMの結果が得られます。
CAPMの解釈
実際にある株式の期待リターンを求めるには安全資産のリターンを10年国債のものとして、マーケットポートフォリオの期待リターンをTOPIXの期待利回りとして用います。最後に、マーケットポートフォリオの個別株への影響を表す数値としてのβをBloombergやReutersなどのメディアで調べることができます。これらより、実際の個別株に対しての期待利回りを計算することができます。
さらに、βは資産とマーケットの期待超過収益率の関係を表すため、資産とマーケットの相関を表す項として解釈できます。βが高いほど資産の期待超過収益率が高くなるため、CAPMより基本的にはマーケットと相関の高い銘柄ほど期待リターンが高くなると分かります。ただ、ポートフォリオの中に期待リターンの高い資産を詰め合わせれば良いかというと必ずしもそうではありません。マーケットの変動との相関が少ない銘柄はリスク分散の効果を発揮するのでリスクを最小化するためにはポートフォリオの中に必要です。
参考:CAPMとは【経済用語をやさしく解説】-大人の数トレ教室
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<文/須藤>