【毒毒ビューティ水野久美】本多猪四郎「マタンゴ」('63東宝)【東宝特撮カルト】
今2023年の元旦11時ですが、先ほど水野久美の誕生日が1月1日だと知り、慌ててこの解説文を書いています。なんとか0時までに投稿できるといいのですが。
東宝特撮映画史上最大のカルト大作と言えば「ノストラダムスの大予言」とこの「マタンゴ」ではないでしょうか。「ノルトラダムス」は諸般の事情で封印され、ソフトが市場に出ることはないのですが、「マタンゴ」はその種の大人の事情とは関係ありませんので、普通に見ることができます。
ヨットに乗って外洋に出た若者たちが嵐で遭難して名前も知らない絶海の孤島に辿り着きます。近くにだいぶ以前に座礁した船も廃船として残っていましたが、生きている者は誰もいない。ただ船の中には奇怪なキノコの標本が。残された航海日誌には「船員が日々消えていく」「キノコを食べるな」という記述が残されていました。
突然、全身がキノコと化した奇怪な人影が。どうやらこの島に生えたキノコ(マタンゴ)を食べた人間は、マタンゴになってしまうようなのです。
島でのサバイバル生活が始まりますが、食料が尽き、グループの間に諍いが始まります。そして飢えに耐えかねて1人、また1人とマタンゴを食べ始める……。
絶海の孤島で体験する人智を超えた恐怖という意味で、「遊星からの物体X」や「吸血鬼ゴケミドロ」とも通底する映画ですが、「人間が人間でなくなる恐怖」でカルトムービー化し、世界中にファンがいる映画です。
この映画の水野久美はキャバレーの歌手で、ヨットの持ち主である青年実業家(土屋嘉男)の愛人という設定。彼女もマタンゴを食べて狂気に囚われますが、全身から怪しいフェロモンを出して「あなたも食べなさい…美味しいわよ…」と言う場面はゾクリとします。
撮影で使われたマタンゴは成城のお菓子屋さんが作った菓子で、実際美味しかったそうですよ。水野久美は撮影中喜んで食べていたとか。
映画では最後までマタンゴを食べなかった主人公(久保明)が生き残って帰還できますが、精神病院に収容されてます。村井は「戻ってきてきちがいにされるなら、自分もキノコを食べて島で暮らした方が幸せだった」と言いますが、そこから衝撃のラストを迎えます。
最後まで異様なムードの中で展開する映画で、本多猪四郎は、自身のベストムービーに選んでいるそうです。
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