竹熊健太郎

文筆家・編集家の竹熊健太郎です。

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マガジン

  • 『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画

    この秋クラウドファンディングを開始する『『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画」についての解説を収録します。この映画は画家・深井国による美麗な美術が売りですが、50年前の作品で撮影に使われた美術原画の大部分が失われているため、最新のデジタル技術を駆使して原画復元し、最終的に画集を出そうという試みです。

  • 21世紀の出版マニフェスト

    還暦にしてディベロッパー(下請けライター)からパブリッシャー(出版者)を目指す竹熊健太郎が考える、出版の現在と未来。

  • 【メイン】竹熊健太郎メルカリDVD解説文集

    私のメルカリへは次のリンクをクリックしてください。 https://jp.mercari.com/user/profile/771237917 私はDVDコレクションを手放す決意を固め、メルカリに出品することにしました。ところが解説文が毎回長くなったのでnoteにも転載します。 メルカリの規約でAmazonアフィリエイトコードを貼った外部リンクを飛ばすことができないので、こちらではAmazonリンクのみで、メルカリにnoteへのリンクは貼りません。 ノートで紹介する映像作品には基本的にアマゾンの売り場のリンクを貼っていますが、ノートの仕様とアマゾンリンクの相性が悪いのか、うまく画像が出ないで、文字のみのリンクもあります。しかしリンクは生きていますので、クリックすれば売り場に飛ぶことができます。

  • 【SF・ファンタジー・ホラー】竹熊健太郎メルカリ解説文集

    SF・ファンタジー・ホラー映画についてはこのマガジンです。

  • 【カルト】竹熊健太郎メルカリ解説文集

    竹熊健太郎メルカリ解説文集の中から「カルトムービー」「変な映画」をセレクトしました。

最近の記事

【リターン進捗報告】「哀しみのベラドンナB2判復元ポスター」が完成しました!

モーションギャラリーで700万円弱で達成したクラファンリターン品のうち「ベラドンナB2ポスター金・銀セット」の印刷が完成さました。写真は裁断する前の色校ゲラで、深井国先生の最終確認を経て印刷を開始します。 写真は金銀インクの輝きが分かるように窓際に置いて撮影しました。現物のポスターと比べても遜色がない、新品同様のポスターに仕上がっています。 クラファン参加者で金銀ポスターを支援購入された方には、12月初旬から2枚を同梱して順次発送しますので、楽しみにお待ち下さい。

    • 【今後の「21世紀の出版マニフェスト」について】

      私がnoteに連載し、3年前に中断したままの「21世紀の出版マニフェスト」は、全体の構想はすでに出来上がっている。現在までに次の章を公開している。 1.町のパン屋さんのような出版社。 2.昔の本は高価(たか)かった。 3. 薄利多売の仕掛け人 神吉晴夫の巻。 明治大正の書籍は高価で、たとえば漱石の「吾輩は猫である」は価格が1円。明治30年代の1円は現在の貨幣価値で2万円近かった。これの初版が2000部なので、この売り上げはほぼ4000万円になる。これが大正3年までに毎年1

      • 【別論1】私の新しい出版構想

        ※これは「哀しみのベラドンナ復元豪華画集」のクラウドファンディングを行うにあたって考えていたことをXと facebookに書いたものであるが、テーマが「21世紀の出版マニュフェスト」と直接関係するため、こちらのマガジンの記事として改めてまとめたものである。「ベラドンナ豪華本クラウドファンディング」については、こちらのマガジンを参照して下さい。 来年度刊行予定のベラドンナ豪華本だが、すべてオンデマンド印刷でやろうと決めた。オンデマンドは私なんかの世代だと「粗悪な簡易印刷」とい

        • 『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第5章)アメリカ合衆国での4K化について(2)4Kレストアチームへのインタビュー

          ●はじめに 米国での4K化について日本ではまったく報道されず、私自身知らないうちに『哀しみのベラドンナ』はオリジナルネガから4Kスキャニングされ、米国シネリシャス社の技術者によってリマスタリングされていた。そのうえで2015年秋に全米30の映画館でロードショー公開されたのである。しかも、それが米国初公開だというから驚いた。 日本で報道されなかったのは、そもそも日本ではヒットせず、2度の劇場公開でも制作費が回収できなかった「興行に失敗した大昔の映画」だったからである。この作品

        • 【リターン進捗報告】「哀しみのベラドンナB2判復元ポスター」が完成しました!

        • 【今後の「21世紀の出版マニフェスト」について】

        • 【別論1】私の新しい出版構想

        • 『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第5章)アメリカ合衆国での4K化について(2)4Kレストアチームへのインタビュー

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        • 『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画
          14本
        • 21世紀の出版マニフェスト
          5本
        • 【SF・ファンタジー・ホラー】竹熊健太郎メルカリ解説文集
          88本
        • 【外国映画】竹熊健太郎メルカリ解説文集セレクト
          122本
        • 【カルト】竹熊健太郎メルカリ解説文集
          45本
        • 【メイン】竹熊健太郎メルカリDVD解説文集
          225本

        記事

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第5章)アメリカ合衆国での4K化について(1)クレイグ・ロジャース「サイケデリック・アニメーションを復元する方法」

          クレイグ・ロジャース氏は映画修復技術者。シネリシャス社で『哀しみのベラドンナ』の画像修復・4K化を行った人である。彼がいかに『ベラドンナ』のネガフィルムを入手し、4Kリマスターをしたか、御本人が「ムービーメーカー」誌で10のプロセスに分けて解説している。(竹熊) 10の簡単なステップでサイケデリック・アニメーションを復元する方法 クレイグ・ロジャースCraig Rogers 公開日: 2016年8月19日 ムービーメーカー誌のために、この「ハウツー」を書きました(Cine

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第5章)アメリカ合衆国での4K化について(1)クレイグ・ロジャース「サイケデリック・アニメーションを復元する方法」

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第4章)影響を受けたと思われる映画について(4)ジョージ・ダニング『イエロー・サブマリン』

          1962年『ラブ・ミー・ドゥ』でレコードデビューしたビートルズは、自分たち自身での作詞作曲を貫いたバンドで、またたくまにイギリスのヒットチャートを駆け上がり、以降出すレコードすべてがヒットチャート1位になるなど、歴史的な快進撃を続けた。 1964年1月のフランス公演中、アメリカのヒットチャートでシングル『抱きしめたい』が1位になり、メンバーは2月に初渡米してCBSテレビ『エド・サリヴァン・ショー』に出演。視聴者は全米で7300万人に及んだと言われ、押しも押されぬ世界的な人気

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第4章)影響を受けたと思われる映画について(4)ジョージ・ダニング『イエロー・サブマリン』

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第4章)影響を受けたと思われる映画について(3)大島渚『忍者武芸帳』

          1954年、京都大学を卒業して松竹に入社した大島渚は、1959年早くも監督に昇進、『愛と希望の街(原題「鳩を売る少年」)』でデビューした。以後大島は社会派の問題作を連発、翌1960年『青春残酷物語』『太陽の墓場』をヒットさせて松竹ヌーヴェルヴァーグの騎手と呼ばれた。 1960年、日米安保条約に反対する大学生たちを主人公にしたディスカッション・ドラマ『日本の夜と霧』の内容が松竹幹部の逆鱗に触れ、公開わずか4日間で打ち切られる。大島はこれに抗議して松竹を退社した。同時に、のちに

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第4章)影響を受けたと思われる映画について(3)大島渚『忍者武芸帳』

          『哀しみのベラドンナ』原画復元クラファンリターン紹介

          9月18日(水)から10月31日ま(木)でモーションギャラリーで『原画復元クラウドファンディング」が開催されます。 ▼クラファンURL(明日18日午前9時からスタート) https://motion-gallery.net/projects/belladonna ここでは18日より公開されるクラファンのリターンを紹介します。 (※画像はクリックで拡大します) ●お気持ちだけ ¥3,000深井国描き下ろしイラストメッセージ[PDF](1通) ※深井国がクラファン参加者

          『哀しみのベラドンナ』原画復元クラファンリターン紹介

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第4章)影響を受けたと思われる映画について(2)クリス・マルケル『ラ・ジュテ』

          フランス・ヌーヴェルヴァーグ作家の一人であるクリス・マルケルは、ゴダールやトリュフォーなど他の人気ヌーヴェルヴァーグ作家に比べて知名度が少しだけ低い。理由は彼がドキュメンタリー映画監督であって、ほとんど劇映画を撮らなかったことにある。しかしマルケルは1962年に「時間と記憶」をテーマとした短篇劇映画『ラ・ジュテ』(29分)を撮り、この一作で世界的な名声を得た。la jetée(ラ・ジュテ)は空港の送迎ブリッジを意味するフランス語である。 『ラ・ジュテ』はその衝撃的な物語もさ

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第4章)影響を受けたと思われる映画について(2)クリス・マルケル『ラ・ジュテ』

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第4章)影響を受けたと思われる映画について(1)ドライヤー『裁かるるジャンヌ』

           アニメーション映画史上、映像的にも内容的にも比べ得る作品がないとも言える『哀しみのベラドンナ』だが、アニメを離れて映画の歴史を遡って見るなら、これの影響を受けたのではないか? と思われる作品がいくつか存在する。この章は、そうした先行作品を4本紹介し、『哀しみのベラドンナ』を映画史の中に位置づけてみようする試みである。 カール・ドライヤー『裁かるるジャンヌ』(1928)19世紀の終わりにデンマークで生まれたカール・テオドア・ドライヤーは、映画史の初期に現れた巨匠であり、世界

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第4章)影響を受けたと思われる映画について(1)ドライヤー『裁かるるジャンヌ』

          【重要】クラファンを2回に分けて実施することについて

          このたびのクラウドファンディングは私のSNSなどでは何度も「最初に国内クラファン(原画復元目的)、次に海外クラファン(豪華画集制作クラファン)の2回行なう」旨を告知している。しかし、このアナウンスが徹底しておらず、最初から豪華画集を制作するクラファンだと思われている人が多いようだ。そのような人のために、改めて「クラファンは2回に分けて行なう」ことを明記しておきたい。 もちろん、クラファンは2回とも「画集制作」が最終ゴールになるので、最初から画集制作目的だと書いてあって間違い

          【重要】クラファンを2回に分けて実施することについて

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第3章)画質問題について

          【重要】原画復元の画質問題について 『哀しみのベラドンナ』(1973)の画像を動画から復元するに当たって、どうしても解決できない、最大の懸念点となった問題をこれから書きたい。クラウドファンディング参加を考えている人は、よくお読みになり、内容を理解されたのちにご参加ください。 ●入手できた劇場上映用4Kデータこの原画復元計画は、『哀しみのベラドンナ』4K上映に当たって米国CINELICIOUSPICS社が高額な予算をかけてオリジナルフィルムから作成した劇場上映用4Kリマスター

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第3章)画質問題について

          'Belladonna of Sadness' Project to restore lost original artwork (part 2).

          ● In search of lost original artwork As mentioned earlier, the majority of the original art drawings for Belladonna of Sadness have been lost. While they were left stacked in a warehouse for many years, the warehouse was frequented by a num

          'Belladonna of Sadness' Project to restore lost original artwork (part 2).

          'Belladonna of Sadness' Project to restore lost original artwork (Part 1).

          ● The 'swan song' of Mushi Productions, the legendary animated feature film Belladonna of Sadness.*Honorifics in the text are omitted. It is said that a swan makes its most beautiful call in its lifetime when it is about to burn itself out

          'Belladonna of Sadness' Project to restore lost original artwork (Part 1).

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第2章)

          ●失われた美術原画を求めて先にも述べたように、『哀しみのベラドンナ』の美術原画は大部分が失われている。長年倉庫で積みっぱなしとなっていた間、倉庫には映画人・アニメーション関係者が多数出入りしており、「ご自由にお持ちください」状態だったようなので(※註)、今後、未発見の美術原画が出てくる可能性はある。実際、国内外のネットオークションでベラドンナ関連の出品がたまにあるが、ポスターやパンフレット以外の多くは当時のセル画やアニメ原画をトレスした色指定紙などであり、深井国の肉筆原画では

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第2章)

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第1章)

          ↑日本公開版予告編 ●虫プロの「白鳥の歌」・伝説の長篇アニメーション『哀しみのベラドンナ』とは ※文中での敬称は略させていただきました。 白鳥は己が生命のまさに燃え尽きんとするとき、生涯にもっとも美しい声で鳴くと言われる。これを「白鳥の歌」という。 1973年に公開された長篇アニメーション『哀しみのベラドンナ』は、直後に製作会社の株式会社虫プロダクション(以下虫プロ)が倒産したことで「虫プロを倒産に追いやった作品」と言われることがあるが、これは正確ではない。会社の経営

          『哀しみのベラドンナ』失われた美術原画復元計画(第1章)