- 運営しているクリエイター
記事一覧
終わりなき旅〜早瀬耕『未必のマクベス』
「休暇は、終わってしまいましたね」
「永遠に続く休暇はないから、しょうがないよ」ぼくは、蓮花からパスポートを受け取って、チェックイン・カウンターに見知らぬ男のパスポートと並べて置く。それが、帰る場所を失う旅の始まりであっても後悔はしないと、地上係員のチェックイン手続きの間、何度も自分に言い聞かせた。きっと、四年前の澳門国際空港で、鍋島も、ぼくと同じ気持ちになったことだろう。ぼくは、どこかにいる鍋島
あなたと食べて生きていく。〜島本理生『わたしたちは銀のフォークと薬を手にして』
銀のフォークを手にして美味しいものを好きな人と食べることは、
人生の最大の贅沢ごとのひとつだと思う。
蟹、しらす、やきとり、海老、お好み焼き…
表紙をめくると目に飛び込んでくる
目次に並んだ美味しそうな食べ物の数々。
私たち読者は、これから読み進めるストーリーが
あらゆる美食と幸せなカップルのエピソードで
淡く華やかに彩られることを期待する。
第1章は3ページという短さながら、
ささやかな
今の自分は好きですか?心から自由ですか?〜『覚醒するシスターフッド』
シスターフッド
ウーマン・リブの運動の中でよく使われた言葉で,女性解放という大きな目標に従った女性同士の連帯のこと。(百科事典マイペディア)
シスターフッド
姉妹。また、姉妹のような間柄。(デジタル大辞泉)
クセが強い。世界観が濃い。
そして全編を通して、大きなテーマが根底で繋がっているのを強く感じた。(女って何だ?女は弱いのか?自由に自分らしく生きるって何だ?)
正直、上記のような
きっと2年後の私は、この話をもっと好きになっていると思う。〜島本理生『夏の裁断』
きっと2年後の私は、
この話をもっと好きになっていると思う。
これは2年前の私が読書記録アプリの感想に綴っていた一文だ。まぁー、ものの見事に的中した。それも偶然ちょうど2年後に再読していたもんだから、なんだか笑えてしまった。
成長と呼んだらいいのか、むしろ根っこは変わっていないのか。ともあれ自分の心の琴線に触れる大切な作品と出逢えたことは、とても喜ばしいことだと思う。
他人の自尊心を自然に奪