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お客様に思い出してもらうために必要な2つの価値
「ブランディングとは?」
と聞かれてすぐに答えられるでしょうか?
あまりにも意味が広すぎて答えに詰まる方も多いでしょう。
ブランドといえば、
エルメスやシャネルなどの高級ブランドからコカコーラのような一般向けのものもあります。
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多くの企業が、このようなブランドを作ろうと日々奮闘していますが、今中小企業に必要なのは、このようなブランドではないと私は思います。
人から選ばれるために大切なのは、ストーリーです。
その会社やサービスには、どのような物語があるのか。
そして、そのストーリーにどれだけの人が共感してくれるのかが重要です。
共感されるストーリーがないと、選ばれる理由が弱くなってしまいます。
選ばれなければ、売上は下がり、ビジネスを継続することすらも困難になります。
今回は、長くお客様から選ばれるためのストーリーとは。
ブランディングとの関係性も一緒に解説していきます。
競争の激しい中小企業こそ、この共感されるストーリーが重要ですので、ぜひ最後までご覧ください。
こんな方におすすめ
中小企業の経営者
差別化、ブランディングについて考えたことのある方
組織を強化していきたい経営者
1. 人が商品・サービスを選ぶ本当の理由
そもそも、人はどんな基準で商品やサービスを選ぶのでしょうか。
品質やスペック・価格などがパッと思いつくでしょう。
確かに、選ぶ理由としては重要そうです。
しかし、普段私たちは上記以外で選んでいることが結構多かったりしています。
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例えば、パソコン。
日本人はAppleファンが多くMacを使っている方も多数います。
でも、昔から性能や価格の安さなどはWindowsの方が良いと言われています。わざわざMacを買わなくても良いのに、なぜかMacを買っています。
スマホもそうですね!カメラの性能や容量など、今やどこも変わらないのに、高いiPhoneを買う人が多いですよね。私もそうです。
なぜか、価格やスペックをある意味無視してAppleを選んでいることがあります。
ここに選ばれる秘密があるのです。
Apple製品だとブランドが確立しているので、別の例で考えてみましょう。
ここであるエピソードを皆様に共有させていただきます。
長野市にあるタクシー会社「中央タクシー」のエピソード
中央タクシーは1975年に創業した会社で、「お客様が先、利益は後」という経営理念を掲げています。
ただ、正直、この理念だけを読むと「キレイ事」のように感じてしまう人も多いでしょう。
ところが、以下のエピソードを知ると、「なるほど、そういうことか」と納得できます。
1998年の長野オリンピックの時のことです。
地元長野には、観光客や報道陣がどっと押し寄せました。
タクシー業界も空前の特需にわいていました。
報道各社は我先にと、タクシー会社に貸切の予約を入れます。
中央タクシーもオリンピック期間中は予約で満杯になりました。
会社としては、稼ぎ時です。
そんなとき、一人の従業員が声を上げたのです。
「大会中、いつもうちのタクシーで病院に通ってるあのおばあちゃんはどうすればいいんでしょう?」
その声をきっかけに、いつも使ってくれる市民の足を守らないでいいのかという議論になりました。
「お客様が先、利益は後」という理念を掲げているのに、それでいいのか?というわけです。
経営者は決断しました。「貸切の予約は断って、通常通り営業する」と。
長野で貸切を断ったのは、中央タクシーだけでした。
大会期間中、同業他社は通常の3倍の売上を上げました。
当然そのタクシー会社は普段とあまり変わらない売上でした。
しかし、オリンピックが終わると、観光客やメディアなどのお客さんは潮が引くようにさっていきました。
逆にそのタクシー会社は、以前は他社を使っていたお客さんまでが指名してくれるようになり、
大会前より繁盛するようになりました。
これが選ばれる理由です!
タクシー会社は、どこも同じ金額、同じような車種、同じような運転手です。
差別化としては、非常に難しい業界ですが、このエピソードのおかげで他社を一気に引き離すことができました。
なぜ、お客様は中央タクシーを選んだのか。
それは中央タクシーの行動に共感し、「ここを使いたい」と思ったからに他なりません。
ここで言いたいことは、人が商品やサービスを選ぶ本当の理由は、性能・価格などの機能的価値だけではない。
それ以外にも必要なものがあるということです。
それが共感されるストーリーとなります。
2. 共感を生むためのストーリーを作る
中央タクシーの例を出したように、選ばれるためには共感を生むストーリーが必要です。
ここで大切なことは、どんなに立派な理念を作っていても行動が伴っていないと意味がない。
「お客様が先、利益が後」と言いつつ、利益を優先してしまっていたら、中央タクシーにお客様がついていくことはなかったでしょう。
どのようにストーリーを作れば良いのか。
経営者と現場の力を合わせることがポイントになってきます。
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中央タクシーの例でよかったことは、理念を行動に移したことです!
理念と行動が両方できて、今回のストーリーができたということになります。
会社の理念や方向性を作るのは経営者の仕事ですが、それを行動するのは現場の従業員です。
トップダウンではなく、理念にそった行動とはどういうことかを話し合い、見つけていきます。
独りよがりの理念ではいけません。
その理念や想いは、顧客への価値提供につながって初めて意味を成します。
経営者だけでなく、現場のメンバーと理念をもとに、どのような価値を提供していくのか。日々の仕事でちゃんとできているか。定期的に見直すことが重要です。
その積み重ねの継続が、ストーリーを作っていくきっかけとなります。
3. 企業として明確化しておくべき2つの価値
さて、ここまでで共感できるストーリーが大事ということは、お分かりいただけたと思います。
このことから、企業には明確化しておくべき2つの大切な価値があります。
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1.機能的価値
商品・サービスの性能や価格、強みなどの基本的なスペック。これは当たり前に日々向上し続けれなければならないもの。まずい寿司屋にはそもそも顧客はつきません。顧客がいなければ、ストーリーも生まれません。
2 .情緒的価値
共感されるストーリーや価値観。「ここのサービスが好き」という感情をお客様に持ってもらうこと。たとえ、価格で負けていたとしても、顧客がこのサービスを選ぶという状態。機能では測れない価値。
この2つを明確化して、日々アップデートしていくことが大切です。
これは売上だけでなく、採用や取引先との関係作りにも重要になってきます。
特に採用では、大きな効果を発揮するでしょう。その企業が大切にしている価値観に共鳴して入社した人は辞めにくいです。
給与や休みで選んでいるわけではなく、その会社が好きという思いで入っているからです。
逆に、給与や休み・福利厚生など機能面だけで採用すると、それより良い条件が出てきた時に、すぐに負けてしまいます。
機能的・情緒的価値を言語化して、共有することが人から選ばれる第一歩になるのです。
4. まとめ
良いものを作れば売れるという時代は、終わりました。
機能だけでなく、共感を持たれるストーリーがブランドを作っていきます。
日々、自社が大切にしている理念をいかにして行動に移していくか、これがストーリーを作るポイントです。
頑張って商品開発をして、認知をとることももちろん大事ですが、それだけでは勝ち残ることが困難な時代になっています。
商品やサービスが良いのは当たり前。
いかにして、顧客からの「ここが好き」を生み出せるかが重要となります。
自社の理念がサービスや行動に反映できていますか?ぜひ、次の会議で話し合ってみてください。