noteの人と会ってきた 下
先日の続きです!上下巻集めると強くなります。
満喫のエレベーターはタバコくさいイメージがあったけれど、今回行ったところはホテルのような匂いがした。天気が情緒不安定なせいか、ここでも少し待つことになった。待合席を見るとカップルしかいなかった、やっぱり完全個室だとこういうことも捗るのだろう。
実際、私もTinder現役時代は何度かお世話になった。でもラブホテルのベッドと違って私の体重を受け止めてはくれないから膝が痛くなる、ワンナイ以外で満喫をラブホにするのはやめることをお勧めします。
おしゃれな内観を眺めながらポカンとしていると番号を呼ばれた、刑務所気分♪
方向音痴の私たちは上階に行くエレベーターの場所すら迷宮入りさせてしまった。迷路だなと思いながらぐるぐる歩いていると部屋にたどり着いた。
オレンジジュースを引き連れてフラットシートに座る。少しの沈黙の後、何から話せば良いのかわからなくなってしまった。
とりあえず受付でもらったハンドクリームを塗ってみた、質感はサラサラで心なしか少し冷感がある気がした。
「こっちも使ってみても良い?」
正気か?顔が千葉雄大なら指の隅々まで塗りつけるけれど、正直シェアハピしたくなかった。
「良い匂いですね」
同感です、家に帰って表面を定規でこそげとった。
密室ということもあってカフェよりも深い話をした気がする。密室にハタチの女と二人きりでルンルンの山田に対して、私は終始あることが気になって話に集中できていなかった。
話している時の山田の体勢だ。
体育座りの重心後ろ目、自力でリクライニングしているようなイメージ。
手持ち無沙汰なのか貰ったハンドクリームを投げてはキャッチしてを繰り返している。
一生合わない視線は泳ぎ続ける。
キモいの役満?
この後の記憶がほぼこの体勢の男で埋め尽くされてる、むしろ会話の内容がその他大勢と同じすぎて印象に残らなかったのだと思う。
ーー
山田をnoteで見つけた時からこの人とは彼氏がいなくてもセックスしたく無いと思っていた、理由は二つだ。
一つ目は、Twitterのフォローを外したら外し返されたこと。
ツイートが少し口に合わなくてフォローして間も無く外した、私の記事を褒めてくれてさえいたのに三日後には山田からのフォローも外されていた。興味があるならフォローしてれば良いと思うんですけど、、、
それに気がついた時この人とは一線を引こうと決めた。やることがガキすぎて、一発ヤったら一生まとわりついてくるのが目に見える。
二つ目は、カッコの使い方だ。
山田の文章は面白いと思っている。しかし、時折現れるカッコの巧みな使い方が鳥肌を誘発する。(そうは言っても面白いから読んでしまうんだけどね笑)
上記のカッコ、おじさん臭を感じませんか?そういうことです。
偏見だけれどもカッコを多用する人は考えが先行して話の起承転結が読めない方が多くいらっしゃると思う。文章が素敵でも話の温度感が合わない人とは身体のテンポも合わないのでヤらない主義だ。
以上がまたたび選手の「山田とヤりたくない理由」です。ご静聴ありがとうございました。
ーー
「何か飲みますか?」
沈黙は男の声で破られた。全く緊張していないからか、飲み物はあまり減っていなかったけれど物理的に距離を置きたかったので再びオレンジジュースを頼んだ。
帰ってきた男はドアを開けられないと踏んでドア前で待機していた。なぜヤらないと決めているのに好感度を上げたいのか自分でもわからない。遺伝子に男に尽くせと刻み込まれているとしか思えない。
期待通りドアを開けて出迎えることができた。彼氏が帰ってきた時の嬉しさが飛び跳ねる感覚は一切なかった、自分がこの2年で変わったことを実感した。
多分、彼氏と会う前の私なら今日もラブホテルにいただろうし、触れたいと言われる前に相手の気持ちを察して手に触れたと思う。人間、根本を変えることは難しいけれど表面は努力次第で変えられる。表面が変われば内面にまで踏み込む人は少ないのでは無いか、そうやって浮気のリスクを減らしていく。こうして男が横にいるのに彼氏のことを考えるようになったのは女としての自分が外に出たがらなくなったからだろう。
「手を握っても良いですか?」
手でいいのかと思わず間ができてしまった、断るにも微妙な願いを聞き入れることにした。手を握りはじめて少しした頃、男が手をモミモミしてきた。絶妙に気持ち悪い、山田は不快よりキモいことをするセンスがあると思う。
可愛くて触れたくなってしまったと言われて素直に嬉しかった。Twitterに自撮りをあげる女は、承認欲求が固定資産税がかかるくらいでかい。
男が決めた16時40分まであと2分、きっと時間になっても手を離さないような気がしていた。
16時40分
「すみません、45分までいいですか?」
問題集の解答解説くらいわかりやすい。手を離したあとこっそり拭いた。
閉鎖的な個室を出て駅に向かう、ここで別れると思いやる気スイッチをオフにしようと思ったその時、夕飯の買い物についていくと言われた。パパか?
彼氏と私が食べる分のご飯を他人が買うのはどこか不思議な気持ちだ。
罪悪感を埋めるためにしてくれているのか、山田がただの助けたがり屋さんなのかはわからないが性生活の質問に答えたのだからこれくらい払ってもらってもいいような気がした。おまけにケーキも買ってくれた、ありがとうパパ。
「ショルダーチャージしてもいいですか?」
最近流行りの若者言葉ですか?男曰く、肩と肩がぶつかると女の子の柔らかさが伝わってきて好きなんだそうだ。
村上春樹くらいよくわからない、ここにくる途中に村上春樹の話をしたけれど私は村上春樹が苦手だ、ブランデー飲んでセックスして回りくどいこと言ってるだけじゃんと思ってしまう。生返事しかしなかった気がする、すみません一万円貰っているのに。
結局、山田が恥ずかしがってショルダーチャージをすることなく帰路につくことになった。
改札をくぐれば男はただの会社員に戻る、男の生活の彩りになれただろうか。一万円に見合う時間を提供できたか自信がない。いくら嘆いても今日はもう過去になってしまった、やり直すことはできない。
今日は明日昨日になるのだから、好きなことをしたと清々しい気持ちで帰ろう、男とは逆方向に歩き始める。8月の蒸し暑い地下道を日常へ向かって進んでいく。
「絶対もう山田とは会わない」
終劇
またたび。
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