【美術展2024#56】石田尚志 絵と窓の間@神奈川県立近代美術館 葉山館
会期:2024年7月13日(土)〜9月28日(土)
線を引く。
写真を撮る。
また線を引く。
そして写真を撮る。
室内に入り込む光と共に刻一刻と移り変わっていく作品。
果てしなく続く作業を繋ぎ合わせて時間を彫刻するように一つの映像に紡いでいく。
いわゆるストップモーションアニメーション(コマ撮り)だが、その工程はとてつもなく手間がかかっている。
平面作品と立体作品が共に意思を持ったように変化し増殖し続ける。
鮮烈な青が空間を縦横無尽に行き来する。
窓から差し込む光に反応するように、
印画紙に焼き付けられるように、
光から逃げるように、
光と溶け合うように、
影に隠れるように、
闇の中で蠢くように、
写真と文字ではこの世界観は表せない。
ぜひ映像をご覧いただきたい。
・東京都現代美術館
・横浜美術館
会場には中学生の頃に描いた絵も展示されていた。
絵の具がひび割れて剥離寸前の状態。
直前の映像を見てからこの絵を見ると、まさにひびの中から新しい線が生まれて絵を塗り替えていくような瞬間にも見えた。
公開制作中の作品も。
私が行った日は残念ながら作家不在だったがタイミングが合えば制作風景に立ち会えるだろう。
幼少の頃の絵も展示されていた。
ウゴウゴルーガのキャラクターみたい(石田氏の方がそれより十何年も昔だが)。
映像というマチエールのない世界でも執拗なまでのその作業の痕跡は画面を通り越してひしひしと伝わってきた。
「髙橋龍太郎コレクション」にも作品が蒐集され、現在東京都現代美術館で行われている「日本現代美術私観」でも小部屋で映像が流されていたが、あちらはスペースがキツキツだったので、もし時間があれば葉山まで足を伸ばすことをお勧めする。
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