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【美術展2024#23】アブソリュート・チェアーズ@埼玉県立近代美術館
会期:埼玉県立近代美術館
2024年2月17日(土)~5月12日(日)
巡回:愛知県美術館
2024年7月18日(木)〜9月23日(月・振)
開館当初からデザイン椅子の名品を館内に設置してきた「椅子の美術館」が、従来のデザイン椅子展とは異なる新しい視点から「椅子」というテーマに挑みます。
椅子は多くのデザイナーや建築家の創造性を刺激する絶対的なテーマであると同時に、アーティストにとっても魅力的なモチーフとなってきました。玉座のように権威の象徴となることもあれば、車椅子のように身体の補助となることもあり、電気椅子のように死や暴力とも無縁ではない椅子。また、私たちが椅子に座って向き合えば、そこには関係が生まれます。この上なく身近でありながら、社会や身体との密接な関わりの中で幅広い意味や象徴性をまとった椅子は、まさに究極の日用品と言えるでしょう。
アーティストたちは椅子のもつ意味をとらえ、作品を通じて社会の中の不和や矛盾、個人的な記憶や他者との関係性などを浮かび上がらせてきました。アートのなかの椅子は、日常で使う椅子にはない極端なあり方、逸脱したあり方によって、私たちの思考に揺さぶりをかけます。
本展覧会は、主に戦後から現代までの美術作品における椅子の表現に着目するものです。椅子をめぐる国内外の平面・立体・映像作品83点を紹介し、アートのなかの椅子の機能や含意を読み解きます。
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「椅子の美術館」として多数の名作椅子を所蔵することで有名な埼玉県立近代美術館で行われる椅子をテーマにした展覧会。
今回は美術作品の中で椅子がモチーフとしてどのように扱われてきたかという部分にスポットを当てた今までにあまりなかった切り口だ。
椅子好きとしてこれは見逃せないと意気込んで足を運んだ。
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会場外の吹き抜けに吊るされる作品。
ご時世がらコロナウイルスがモチーフなのかと思いきや元ネタは2005年に制作されているとのこと。
だが今回の再制作でタイトルを2005年の《ブラック・ホール・カンファレンス》から《樹状細胞》へと改題しているあたり、やはり時代を意識してのことだろうか。
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本展示はデュシャンから始まる。
(撮影は禁止されていたため図録より)
この展覧会が名作椅子の歴史やデザイン関係の展示ではなく、あくまでもアート視点からのアプローチなのだというメッセージとして受け取った。
その隣にはそれを念押しするように草間彌生の椅子が並ぶ。
「美術館の座れない椅子」と章立てされた同室にはさらに今回のキービジュアル作品が並ぶ。
座れそうで座れない。
いや無理すればやっぱり座れるかもしれないが安らぎはしないだろう。
カラフルな色が付いているから何だか楽しい気分になるが色がなかったらゴミ屋敷の中にいるようだ。
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宮永愛子のナフタリン作品。
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いくつかの場所でいくつかの宮永氏のナフタリン作品を見てきたが、椅子をモチーフとした今作品では樹脂に気泡も混入されており、気化するナフタリンと相まって時の流れを感じさせるような神秘的で不思議なオーラを放っていた。
光の当て方も綺麗だった。
名和晃平のPixCellシリーズの椅子。
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影も作品の一部として見えた。
実物はまるまるツルツルしているのに影はデジタルのドット絵のようにも見える。
たまたまなのかもしれないがその時間のズレのような感覚が、時が止まっているかのように見える実物とのギャップと相まってより強く感じた。
副産物産店というユニットの作品。
実際に座れる椅子が会場内にいくつか置いてあった。
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廃材を再利用して制作される。
展覧会会場(巡回)の愛知県美術館からの廃材利用。
これはロダン彫刻が入っていた箱のようだ。
つい先日西洋美術館にて転がされているロダン彫刻を見たばかりなので感慨深い。 ↓
その他、写真作品にも興味深い作品が多かった。
学生運動当時、内部側から撮ったという渡辺眸の写真や、シャオ・イーノン&ムゥ・チェンによる中国の廃墟となった集会場の写真などは響くものがあった。
展覧会タイトルはデヴィット・ボウイ作品のもじりのようだ。
出品作品も椅子が作品に登場するという共通項のみなので、それぞれの作品の文脈や背景はバラバラなのだが、こういう視点で作品を見たり比べたりするのも面白いなと思った。
館内には「今日座れる椅子」「今日みられる椅子」の案内が。
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常設展ではちょうど名作椅子コレクション展みたいな展示を行っており、企画展とは違った目線で椅子を楽しめた。
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世田谷美術館の倉俣史朗展では撮影禁止だった《ミス・ブランチ》が鎮座しておりこちらは撮影可だったので撮りまくった。
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なお、倉俣史朗展は6月から京都へ巡回 ↓
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