【美術展2024#09】本阿弥光悦の大宇宙@東京国立博物館 平成館
会期:2024年1月16日(火)~3月10日(日)
入ってすぐに国宝「舟橋蒔絵硯箱」が鎮座。
いきなりの出オチ感。
もちろん物自体は何回見ても素晴らしいのだが。
以前から海苔で巻かれた玉子の寿司みたいだなあなんて思っていたが、今回の公式グッズにそんなゆるキャラが描かれていた。
展覧会タイトルにつられてなんだか赤瀬川原平の「宇宙の缶詰」のようにも思えてきた。
会場内写真撮影禁止だった中、唯一撮影可能だった8K映像にしばし見惚れる。
トーハクの高画質映像はいつも素晴らしい。
その後も絵、書、刀、陶、漆などジャンルボーダーレスで国宝・重要文化財が連なる。
書や刀に至っては何が書いてあるとか誰が所有したとかの文脈を取っ払うと、かっこいいなあとか、緊張感がすごいなとか、そんな薄っぺらい感想しか出てこない浅はかな知見の私。
今でいうコラボとかプロデュースとか。
そうか光悦は江戸時代の藤原ヒロシだったんだ、と理解することにした。
そんな中、俵屋宗達の下絵に光悦の書が書かれている巻物「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」が。
躍動感、リズム、色、バランス、全て素晴らしい宗達の絵。
ステンシル的なハンコ絵にも見えるが、よく見ると筆の痕跡があり、緊張感を持った一発描きで描かれている。
基本的に大きさや形はほぼ揃っているのだが手作業だからどうしても微妙にずれていたりして、逆にそれが生き生きとした瞬間を切り取った繊細な表現になっているようにも思えた。
素晴らしい。欲しい。
この時点ですでに作品は完成されているようにも思えるが、それを惜しげもなく下絵にして書を書いてしまう光悦のオラオラぶり。
だが書が入ることでお互いの良さを引き立てあってより良い一点物に昇華されているようにも見える。
絵の上に書が書いてあるのか、書の上に絵が描いてあるのか、しばらく見ているうちに交錯してくる。
時にクロスオーバーしながら即興で縦横無尽に音を奏でるジャズセッションのようにも思えた。
ふと2016年にBunkamuraオーチャードホールで行われたJeff Millsと東京フィルハーモニー交響楽団の公演が頭の中で再生された。
テクノとオーケストラの融合。
あの衝撃はすごかった。
チケットは即完売し今では半ば伝説化しているあの公演の場にいれたことは貴重な体験だった。
Jeff Millsがこんなことをやるなんて私の学生時代(1990年代)には考えられなかったなあと感動したことを「鶴下絵三十六歌仙和歌巻」を見て思い出した。
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