アフリカゾウと、田舎娘のテロワール〈南アフリカ/ピノタージュ&サンソ―〉
ワインを飲むとき、ワインが生まれた遠い祖国を想います。
たとえば、イタリア。陽気な太陽に、乾いた空気。海をのぞむ畑では、ブドウの葉が伸び伸びと腕を伸ばしています。
まだ陽も高いうちに、三々五々仕事を切りあげて集うおじさんたち。めいめいカラフルなシャツを羽織って、サングラス越しに豪快に笑います。昨日も、今日も、そしてたぶん明日も。彼らはこの明るいテラスで、自由に杯をかかげるのです。
たとえば、ドイツ。ライン川から急角度で続くブドウ畑では、眉間にしわを寄せたお父さんが剪定作業の真っ最中です。手に持つハサミには年季が入り、繰り返されてきた年月の長さを思います。
ゆっくりと腰をあげながらひと息つくと、大きな犬がしっぽをふってやってきます。背景にとうとうと流れるライン川。この、なんでもない瞬間を飲み込みんで、レンガ色の歴史はただ、前へ、前へと進んでいきます。
ワインが再生する、遠い祖国の記憶。
ワインを飲むとき、わたしたちはいつの間にか、ワインの生まれた祖国の大地を、遠い時を、そして永い歴史を、想っているのかもしれません。
さて、今日は美味しいワインを飲むぞ!と意気込むますたや。
そうです、週末です。
セラーを覗きこみ、手に取ったのは、南アフリカの #3000円ワイン でした。
こちらはアフリカーさんにうかがった際に、「あ、3000円ですよね」と流れるように出していただいた1本。民、光栄です。
南アといえば、なんといっても草原を闊歩するアフリカゾウ。
そして、オアシスのほとりで絶妙な距離をはかる、シマウマと百獣の王ライオンの風景ですよね。
草原を全力疾走するインパラの美しい後ろ足に、甲高い声で危険を知らせるミーアキャットの親子。
川岸を埋め尽くすヌーの黒々とした群れは、腹を空かせたナイルワニと一触即発のにらみ合いを続け・・・・・・
THE 大自然。
いやほんと、「南ア」って最初に言われたときに、思い浮かべるのってこういう風景じゃないですか?
「南アのワイン」って言われたとき、「えっ?南アでワイン??」ってなるの、ここなんですよね。
「じゃ、ライオンでも見ながら、ワイン飲みますか~」って、ならない。
「ヌーの群れのテロワール」とか、ない。
実際は都会もあるし、ふつうに街もあるって、もちろん知識ではわかっているつもりなんですが、気を抜くとついつい思いを馳せちゃうんですよねぇ、どっちかというと動物よりに・・・・
いやでも、ほら、そんなこと言われたって、困っちゃいますよねぇ。
いきなり動物とか言われたって、笑っちゃいますよねアフリカーさん?
(ア)「動物についてはね… 実は、いろいろ語れることありますよ…」
・・・・・いや 語れるんですかい…ッ!!!
まさかのアフリカーさん、南アのテロワールを語り尽くすだけじゃなく、動物についても語ってくださるとのこと。まさかかよ。
ということで、ワイン好きのみなさんだけではなく、動物好きのみなさんもアフリカーに集えることが発覚🦁🐘🦓🦒🐊
ワイン好きか動物好きのみなさん、わたしと一緒にアフリカーさんで乾杯しましょう!(試飲マシンで)
アシュボーン ピノタージュ / サンソー [¥3850]
<ワインdata>
国:南アフリカ 種類:赤ワイン 品種:ピノタージュ(86%)/サンソー(14%) ヴィンテージ:2019 生産者:アシュボーン インポーター:ラ・グランドジェン株式会社
<バランス>
酸味:★★★☆☆ タンニン:★★☆☆☆ 香り:★★★★☆
こちらのワインは、南アといえばの葡萄品種、「ピノタージュ」が主体です。樽熟はしていないスタイル、との事前情報をいただきました。
ピノタージュといえば、デイリー向きの軽やかフルーティなテイストから、アルコール度を高めて樽熟をかけたフルボディまでその表情の豊かさが魅力。
酸味もあるためもたつきにくく、国際品種とアッサンブラージュして造られる「ケープブレンド」は、コスパの面でも超優秀です。好き。
とはいえ、どちらかといえば、チャーミングで果実味が豊か、飲みやすくてハイコスパというのが、南アの高ワインに手を出していないわたしのピノタージュに対する印象。
今後、変化することがあったととしたら、それはわたしが南アの高ワインに手を出した証拠ですおや、ここがオアシスかな?(蜃気楼)
さて、外観です。
おお~、淡い。ちょっと淡めのルビーレッド。美しい赤に、向こう側が透けて見えます。
香りは最初、比較的大人しいです。ふんわりとブルーベリーのような、かわいい果実の香りが漂っています。
さて、くちに含んでみます。すると・・・・ううーーーん、なるほど、ピュアだな!!
これが、もうなんかとっても、ピュアなんですよ。ピュアっピュアのピュア。
「農家の裏で、ブドウ絞って、ワイン造りました」みたいな、素朴に澄んだピュアな美しさ。
でもなんか、それでいて全然野暮ったくならないんですよねぇ。田舎娘にありがちな、「オラ、おめさんのごと、好きだァ」みたいな口調に、ならない。
活き活きとした酸味があって、無理してないのにきちんとエレガント。透明感のある印象で、えー、なんなの、この子ってば美人じゃん…!
さらに温度があがってくると、ふと脳裏をとある品種がよぎります。
( マスカット・ベーリーA・・・)
いや、さすがにそんなはずは… と思って口に出さずにいたら、夫がひとこと言いました。
「これ、なんか、ベーr」「わかる!!!!!(食い気味に)」
ここまで来て、はっと気づきます。そうかあなた、つまり、いちごの風味がするのね。
いちご香といえば、ガメイ、ベーリーA、そして、ピノノワール。
つまりあれだ、これは、遺伝子の味なんですよ。
アフリカーさん、いいこと言う~~~~~~!!(失礼)
そう。実はピノタージュは、ピノノワールとサンソーを掛け合わせて生まれた品種。
つまりこの、一瞬頭をよぎったマスカット・ベーリーA感、そいつァつまり、紛れもない、血統書付きのピノノワール感ってこと…!
この日は、より南アフリカに強く想いを馳せるため、南ア風のミートローフである「ボボティ」を作ってみました。
これがまたびっっくりするほどこのワインと合って、さすが祖国合わせは最強だなぁ…と感じ入った夜。
豊かな自然の残る美しい村で、美しい乙女が旅人にワインを振る舞う、その親しみやすい笑顔と魂の美しさに、ノックアウトされた一夜だったのでした。
まあ、背景には、アフリカゾウが闊歩していますけどね。(やはり)
それでは今日はここまで^^ここまでお読みいただいてありがとうございました!
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また次の #3000円ワイン か #ワ活 でお会いしましょう🍷 3000円ワインの民、ますたやでした。今日は休肝日、あしたのワインについて瞑想します…!
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■ ますたやとは:
関東在住の30代、3000円ワインの民(たみ)。ワインは週に約5本(休肝日2日)。夫婦で1本を分けあって飲みます。2021年、夫婦でJ.S.A.認定ワインエキスパート取得。これからもおいしいワイン、いっぱい飲むぞ~!
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