noteを書いたら、鎌倉の洋館でフレンチ食べて温かな再会ができた
「お久しぶりです。ご夫妻ともお元気ですか?」
6年ぶりに連絡をくださったそのひとは、私たち夫婦が結婚パーティをした会場CONVIVION元支配人さんSさんだった。こちらのnoteをFacebookでもシェアしたら、コメントをくださった。
今は都心のホテルではなく、鎌倉のウェディングレストランで働いている。よかったらご夫婦でお食事に来てくださいとお誘いいただいた。
夫に伝えると早速ホームページを開いて写真を見ていた。
「行くんやったらな、僕、Yさんも誘うわ。元々、彼があそこの仕事やってはって、僕声かけてもろたしな。Yさんも僕らの結婚パーティ来てくれはったし」それならばご一緒にと、3名で予約、11月とは思えない暖かな昨日、行ってきた。
鎌倉駅で久しぶりに会ったYさん。「真澄さん、note読みましたよ」と言うていただいた。夫が「嫁はんのnoteをSさんが読んでくれはって、そんで連絡もらいましてん」とあらかじめ話していたようだ。
あれからもう6年半ですか。早いですねえと話しながら、歩くこと5分、突然周りの住宅とは全く違う空間が現れた。
これ、門から洋館までのアプローチがとんでもないですね。と言いながら写真を撮り、洋館を目指して歩く。すぐに中からスーツ姿の男性が出てこられた。久しぶりに会うSさんだった。お久しぶりですとそれぞれご挨拶の後、石畳をゆっくり歩き洋館に入った。
大正昭和にかけて建てられたこの洋館。最初は財閥の別荘、その後名前にもなった古我氏が取得したらしい。
木曜日のお昼。平日だが、ホールのテーブルは私たちが座ると満席になった。女性グループ、ご夫婦、これから結婚するらしい若い男女とその親御さんかなと見受けられるテーブル。鎌倉駅前より年齢層は高く落ち着いていた。
料理は普段全く食べなれないフランス料理のコース。メニューを見て食べても答え合わせができない。食べなれない料理なのだが、美味しい。
その場で切ってくれた生ハム。
紫芋 三崎鮪背トロ
なんとなく、鮪の骨を持って食べようとしたら「紫の丸いのだけつまんでお召し上がりください」と言われた。まあ、そうですわな。骨をこんなふうに使われるのは初めて見た。
窓から光が差し込み、自然のライティング効果。こちらの中身は
戻り鰹 藁焼き 焼き茄子 新生姜
鰹のたたきもフレンチだとこうなるのかあ。Yさんが頼まれて私たちも乗っかった白ワインにめっちゃ合う。
ムール貝 フォアグラ ジャスミン米
パイがさくさくで口に入れた瞬間、なかなか広がったことのない味が口の中に広がった。すごいもんで、それでも「美味しい」と感じるのだ。
松崎サバ 甘藷とブラックオリーブ
「上手いことパリッと焼いてはるなあ」と焼サバ大好きな夫がうっとりしている。さつまいも(甘藷)とサバって合うんやねえと私が呟くと、「この人また、晩ごはんでなんか実験しようと思うてるな」と察知した夫が「合ういうて、そのまんまやっても美味しないで」と先に釘を刺した。なるほど。でも頭の中で「鯖とさつまいも」とメモっておいた。
鴨ローストと牛蒡のボートにお芋さんやムカゴが乗っかんたん(メニューに書かれていないので記憶だけ頼りに書いてみた)
鴨肉を食べながら、なぜか蕎麦が脳内に出てくる残念なイメージ力。フレンチで鴨肉って食べたことなかったかも。
メニューに『落花生』とだけ書かれていた一皿。
「なんか、周りのん、ポン菓子っぽいですね。Yさん、東京にもポン菓子ってあります?」と遠慮なく聞くと「東京にはないですけどね。僕、大阪で仕事してたことあるんで、見たことありますよ」と言われた。隣で夫が「おこしみたいやな」「これ、混ぜて食べたら美味いで」とカレーライスのように混ぜ出した。
シェフには内緒にしたい会話と光景である。
ああこの人は、ミートボールをピラフに乗せて出したら、全部潰して混ぜて私に怒られたこと忘れてるなあと思いながら皿を見る。
デザートは3人ともわからなかった『ミニャルディーズ』
私がググって、3人とも納得。
「お天気いいから、外のテラスご案内しましょう」とGM(総支配人)のSさんに外に連れて行ってもらった。邸内とはまた違った気持ちよさ。
「普段ウェディングのお客様だけご案内するんですけどね」と裏山に連れて行っていただいた。
アメリカやヨーロッパのウェディング風景みたいやなあ。
邸宅が建てられるずっと前は、お寺の敷地だったと教えてもらった。なんとなく、その時の空気感も感じられた。
「次はうちの奥さん連れてきます」
「息子くん、デートに使ってもらっていいですよ」
「その前に、ここのお代払えるだけの甲斐性持たんとねえ」
そんな会話をしながら、後にした。
僕、また行きたいな。
早速夫は次の予定を考えていた。
久しぶりに鎌倉まできた夫と、帰りは由比ヶ浜まで行ってみた。富士山は見えなかったが、江ノ島が綺麗に見えた。
「ええ人たち、すごい人たちと僕は仕事してたんやなあ」夫が海を見ながらぽつりと言った。一つの仕事が終わったらそれで終わり、ではなく、こうしてご縁を続けていけるのもすごいし、そんな人たちから信頼されているのもすごいんやで。私が言うと「そうかな。僕もちょっとは凄いんかな」と嬉しそうだった。
その日の夜、お礼のメッセージ送っておこうとした時、6年半前結婚パーティの終わった夜、Sさんへ送ったメッセージを見つけた。
パーティの後、Sさんたちと一緒に息子もチャペルを見学させてもらったそうです。「Sさんとおっちゃんらがな、『まじめにふざける』言うててん。おっちゃんら、面白かったで」と笑顔で話してくれました。
そうだった。SさんやYさん、そして夫の仕事仲間の皆さんが集まられたところに、中学生の息子が入れてもらっていたんだった。大人の男性が楽しそうに仕事の話をするのを、彼は初めてみたのかもしれない。貴重な話を聞いていただろうに、大学生になった息子に「覚えてる?」と聞いてみたら、
全く覚えていない
とあっさり言われた。
仕方ない。成人式の日にまた連れて行ってあげよう。そして、再びSさんにしっかりと『まじめにふざける』話をしてもらおう。できたらさ、SさんやYさんみたいに、仕事できる男になってよね。
きっとその日も、私はこうしてnoteに書いているんやろうな。