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カンボジアで、小学校ではなく中学校を支援することの意義とは?

わたしがお仕事として関わらせていただいているカンボジアへの教育関係のプロジェクトは主に「学校保健」という分野ですが、大きく2つあって、これから学校保健を教える教師になる人の育成と、いま教師をやっている人たちへの(保健の知識がなくても学校保健を教えることができる)教育ツールの提供です。

小学校支援か中学校支援か

カンボジアで教育支援をする場合に、そもそも教育課程のどこを支援するかという問題があります。上から釣り上げたい場合は教師や高等教育機関を、下から押し上げたい場合は初等教育機関(主に小学校)の支援という考え方があるようです。
小学校は教育の入り口であり、就学率を見てもカンボジアでは90%以上あるので、より多くの子どもたちに対して支援を行うチャンスがあります。その意味で、小学校を支援対象としている場合が、国内外の援助では多いように感じます。

小学生はかわいい

以前NGOに勤めていた際に、日本からきた支援者から団体に対して相談がありました。「カンボジアで学校建設をしたいのだけど、どこか校舎が足りなくて困っているところはないですか? 」と。こちらからは「田舎はどこでも中学校の校舎が足りていない、もしくはあっても古くてボロボロな状態のところが多くあります。中学校の校舎建設がよいのではないでしょうか」と提案をしたところ、帰ってきた答えは「小学校がいいですね。写真を撮ったとき、小学生の方がかわいいですから」でした。
・・・なるほど。それはまぁわかります。それだけが理由ではありませんが、小学校の支援の方が中学校と比較するとカンボジアではかなり目立っているのは事実。

小学校を支援する理由

かわいいという話ではなく、正当な理由もいろいろあります。たとえば、小学校は担任教師がいるので、学校に子どもがいるときはいつも教師がいるというのが当たり前。クラス数が多くなる分教師の数もそれなりに充実している学校も多数あります。一方中学校は、日本と同じく教科担任制をとっているので先生は自分の授業の時間だけ学校に行きます。それもあって校長以外とはなかなかアポイントが取りづらいという問題もあります。そんなこんなで、子どもも多いし(かわいいし)、6年間あるし、(だいたい)村に一つはあるし、心身ともに成長期であるため効果測定がしやすいしなど、さまざまな利点から小学校が支援されやすいのだと感じています。

75%は中学校が最終学歴

冒頭で述べたわたしが関わらせていただいているふたつめのプロジェクトの支援は、タイと国境を接しているコッコン州の中学校を対象としています。徹底して中学校の支援です。
上記に書いた通り小学校と比較して支援を受けづらいということもありますがカンボジアの中学校には、日本の中学校とは違う特徴があるように思います。それは高校への進学率です。日本の高校進学率が98%なのに対してカンボジアは25%程度。つまり「75%は中学が最終学歴」ということになるのです。「学校保健」の知識は、学校で勉強するだけではなく、たとえば感染症の予防、精神疾患のこと、性について知っておくべきことなど、実生活で生かされる内容が満載なので、将来の自分や家族の健康にとってとても重要な学習のように感じます。一旦中学を卒業してしまったら、よほどの興味がない限り自分ではなかなか勉強をする分野だとも思えません。だからカンボジアの中学で「学校保健」を教える支援には大きな意義があると思っています。

わたしはコーディネーターという役割で専門職ではありませんし、中学校は数が少ない分(とくに田舎では)地理的にも訪問に限界があったり、難しいなぁと思うことは正直多々あります。それでも中学校への教育支援を実直に行なっているプロジェクトに関われていることに誇りを持っていきたいと思っているのでした。

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