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歴史学と開発学の共通点(わたし的考察)

土曜日に教員をしている補習校で、冬休みに入る前に小2の子どもたちに「たくさん本を借りなさい」と言った手前、わたしも(一冊だけですが)借りて帰りました、「新しい歴史教科書」。これが2023年の最後の読書です。

歴史とわたし

何度も書いているかもしれませんが、わたしは、記憶では小5で歴史にハマった歴女。中学校時代の愛読書は歴史の教科書でした。教科書って子どもにとっては興味の原点のひとつである気がします。「新しい歴史教科書」は中学の教科書ですが、歴史の勉強にわくわくしていたあのころを思い出しました。高校では、日本史の先生が本当に楽しそうに教えてくれる人で、先生の人柄込みであらためてどハマり。高校1年の段階でわたしの進路は、大学の文学部史学科と決めていました。とにかく、一生日本史に浸かって生きていきたいと思っていました。堅実な将来設計? そんなもの、持っていませんでした。バカ学生でごめんなさい。

歴史と進学と就職

進学したのは文学部私学地理学科日本史学専攻。期待通り歴史オタクたちに囲まれた4年間を過ごすことができたのです。チャラ度0%、合コン招待率0%、華やかなキャンパスライフとは無縁のダサい大学生でしたが、おしなべて満足していました。ただ、歴史専攻の学生には”就職問題”という壁が立ちはだかります。「そもそも歴史なんて勉強して将来何になるの?」という声を浴びることも多々。わたしは4年間好きなことに打ち込めるのだから、それ以上の幸せはないと思っている楽天家です。いまの時代、「就職のため」に学部を選ばせる親御さんもいるようですが、18歳の時点で将来どんな仕事をするかを決めるなんて酷なことですよね。好きなことがあるならやってみたらいいと思います。子がいない無責任女の発言ではありますが、笑。

歴史を学ぶとは

「新しい歴史の教科書」の冒頭にこう書かれていました。歴史を学ぶとは、「今の時代の基準からみて、過去の不正や不公平を裁いたり、告発したりすることと同じではない。過去のそれぞれの時代には、それぞれの時代に特有の善悪があり、特有の幸福があった。」この記述はわたしの心を射抜きました。歴史を学ぶというと、「過去の事実を知ること」だと捉えられがちですが、それはテストの穴埋め問題にちょうどよく教えられるいわゆる学校での教科としての歴史であり、その事実を現在のわたしたちの基準で評価しても詮ないことだと思うのです。歴史を学ぶとき、事実だけでなく、その事実に対する当時の人々の考えや行動を学ぶことがその醍醐味なのではないかと考えました。だからこその、浪漫があるんだよなぁ、歴史には。

日本人のわたしにとっての日本史と開発学

2019年2月に王立プノンペン大学の開発学の修士課程に入ったとき、決まったように自己紹介で求められたのが「大学時代の専攻」でした。12人の教授に教わったので12回自己紹介しています。「大学での専攻は日本史です」と言うと、毎度クラスが笑いに包まれます。外国で開発学を学ぶ人にとって、日本史はもっとも対局にあるものなのでしょう。開発学は多岐にわたる開発問題の解決を考える学問なのでBackgroundがバラバラの人が集まって研究した方がむしろ有効だというのがわたしの持論なのですが。それから途上国をはじめとした他国で何かをすることを考えるなら、自国のことを知れるだけ知っておいてからの方がいいとも思っています。ということもあって、笑われても堂々と「わたしの専攻は日本史だ(いいだろ〜くらいの気持ちで笑)」と答えることにしています。日本が今多額のODAを使って国際的開発支援を行えているのも、それまでに至る長い歴史があるわけなので。

歴史学と開発学の共通点

歴史を学ぶとき、「人によって、民族によって、時代によって、感じ方がそれぞれ全く異なっているので、これが事実だと簡単に一つの事実をくっきりえがき出すことは難しい」と前述の本にありました。まさにこれって、開発学と同じだなと思ったのです。外国人が自国以外で開発をする場合、自国をサンプルとしてそこに当てはめることを目指して仕事を進めてしまいがちです。たとえば、日本のNGOがカンボジアで事業を行う場合には、日本を見本に、日本がたどってきたやり方を踏襲して前に進めようとすることがあります。けれどうまく行かないことが多いのは、カンボジアにはカンボジアの歴史、習慣、文化、民族性があり、それが日本とは異なるからです。もし「目指すもの」が日本と同等ではなかった場合は、その事業の成功がその国の開発としての成功とは限らないかもしれません。

そんなことを考えたりして、だから開発学は学び甲斐があり、答えや結論を導きにくく、そして面白いんだなぁとあらためて思ったのでした。
2023年の最後の日、歴史のことを考えて、開発のことを考えて、面白い日を過ごすことができました。
2024年、どんなことを考えるのかわくわくしながら、これからしいたけ占い上半期でも読むこととします。
みなさま、よいお年をお迎えくださいませ。

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