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【読みたい人だけ読んで/一次関数と子どもたちの新たな特性】

【読みたい人だけ読んで/一次関数と子どもたちの新たな特性】

例年、夏の前後が、中2の一次関数を習う時期。

この一次関数が、深い理解と思考を試されるところで、中学内容では、最もわかりやすく"力を試される"単元なんですね。

他の教科や単元には、もう少し単調であったり、浅い理解でも、パターンだけで乗り切れるものもあったりしますが、ここはそうはいかない。 

何せ、関数という概念が、子どもたちにはかなりわかりにくい。

これを、式の計算や方程式を解く、というような感覚で乗り切ろうとすると、それでは全然足りないわけです。

概念の理解。

そう、概念の理解の苦手な世代が、それを試される単元なんですね。


小学と中1でも習う比例反比例の流れからの、中2の一次関数。ここで力が試されてしまう。

ちなみに、苦手だという子は、概念の理解、をまず見直してみてください。

その上で、活用、応用的な面が(利用問題までやると)」かなりありますから、総合的な力を、試されてしまいます。
あらゆるパラメーターを試される、という感じでしょうか。

加えて、この状態で、教え手も、相当力を試されてしまうので、先生としても厄介なところ。

先生自身が「抽象度を高め」て「俯瞰できる」という条件をつけると、子どもたちの理解を導ける先生は、今は、かなり限られるかと思います。素人先生ではちょっとここが無理かもしれません。
  

子どもたちの理解の届かなさを考えると、オーソドックスな教科書と映像授業が、一番、カバーできないところかもしれませんね。

抽象度を上げて、活用・応用までできる、おもしろいところなんですけどね。


で、
なんでわざわざ一次関数を取り上げるかというと、総合的に様々な能力を問われる単元ゆえに、
より、現代の子たちが乗り越えるのが大変であるから。 


ここに新たな世代の特性の一つが見えてきます。


先に書いた、パラメーター。


例えば、RPGの主人公。
様々なパラメーターを持っていますよね。
サッカーゲームの中の選手なんかもそうです。

ゲームだとわかりやすいのですが、スピードやらキック力やらジャンプ力やら、キャラクターは様々なパラメーターを持っていますよね。

現実世界の学習においても、一人一人がこのパラメーターを持っているとしましょう。

おそらく、10とか20とかでは全く足りないほどの、学習のおける多くのパラメーターがあるはずです。


で、ここで本題について、述べておきます。


現代の子たちの特性の一つを、です。


それが、「パラメーターの偏りが大きく、バランス型だとかゼネラリスト型が非常に少ない」ということです。


当たり前に思われるかもしれませんが、
従来にはないほどの、大きな偏りがあるのが、今の子どもたちの新たな特性なのです。


例えば、同じ単元の、同じような内容を学習する。

これまでなら、"Aができれば、Aの仲間であるBについては、問題なくできるだろう"というのが通じない。
近しい内容、思考の順序や組み上げ方が近い内容、抽象度が近い内容、そうしたところに手が届かない。

パラメーターが様々なように、これについては、具体例も様々で、ここで紹介するのが難しい内容です。

しいて言えば、
「5+1」がわかるのに、「6+1」がなぜかわからない、というようなことだと思ってもらえるといいでしょうか。

5に1を加えると、次の数字、6になる。
じゃあ、6に1を加えると、・・・・そりゃ同様に、次の数字7になるはず。

これが、なぜかわからない、ピンと来ないのです。


(これが何を意味するのか、何に問題があるのか。は、ここでは長くなるので言及しません。実は、今はこれが見えないと、学習指導ができません。だから多くの場所では、本質をつかないものになっているはずです。僕らのチームでは、これを共有しています)


そんな事態が、当たり前に、世代全体、世代全員に起こっている。

驚くべき、がずっと続いてきた、この5-7年。
これまで生じ得なかった、想定すらできなかった事態が起きている。

だから、学ぶも教えるも、大きく変わる。

当然のことです。


同じように学べるはずもなく、同じように教えることができない。

これまでを参考にして、または大人の経験則で、
勉強はこうすれば良い、こうやってやれば良い、は、まあ、ほとんどハズレなわけです。

たいていの場所では、まだこのハズレをやり続けている。
(子どもたちを理解しようとしていないからです)


それにどう向き合うか。


それには、ここで述べるような、新たな子どもたちの特性を、深く理解する必要があります。

この点において、今、現場を離れてしまっているベテランは、機能しません。今は、1、2年でも、変化が大きいですから、過去の成功例は役に立ちません。

しっかりと子どもたちの特性を見つめ、
その上で、打てる手を打っていく。

学び方も教え方も当然変わる。

そういうことです。


(おわり)FB投稿より



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本田篤嗣(Master Honda)
記事を気に入っていただけると幸いです。NPOまなびデザンラボの活動の支援に活用させていただきます。不登校および発達障害支援、学習支援など、教育を通じたまちづくりを行っています。