ナンはインドで日常食じゃない?!
「インド料理と言えばナン!」というイメージが強いよね?でも実は、インドではナンが日常的に食べられているわけではないことを知っていた?今回は、そんなナンの意外な一面と、日本とインドのナンの違いについて深掘りしていきたい。ナンを巡る考察の旅、もし時間があればガイドの僕と一緒に行かない?
さて、僕が日本に来て1番驚いたのは、イタリア料理店の多さではなく、ナンの人気ぶり。インド料理店で食べられるのは当たり前なんだけど、スーパーやコンビニ、無印良品にまでナンが売っている。インドの名物が日本でこんなに愛されているなんてと、未だに言葉を失いながら僕もナンを買って帰ることがある。
インド料理店に行けば、必ずと言っていいほどメニューに載っている。しかも、お店によっては種類が本当に多い。面白いのは、地域色の強いフュージョンもあること!名古屋に住んでいたときなんかは、小倉ナンもあったよ。
カレーに合うなん?と思いながら、辛口に仕上げてもらったバターチキンカレーに浸けてみたら、その辛さと甘さの組み合わせが意外とクセになった。気が付いたら次の週も食べに来ていて、マイブームになっていた。
ナンのもっちりとした食感がカレーによく合い、大勢でシェアしやすいことも人気の理由の一つだと思う。もはや、ナンは日本料理の一つ、と言ったらさすがに言い過ぎかな?でも、日本でナンがこれほどまでに定着したのはどうしてなんだろう?なぜやめられなくなるほどに日本人の舌に合うのか?
その理由は、日本の食文化に馴染みやすい味と食感にある。ナンはもっちりとした食感で、日本人は大好きだよね!もちろん僕も大好きだ。味はシンプルな反面、大きな見た目がインパクト抜群で、メニューの目玉になりやすい部分もある。
また、大衆的なインド料理店の急増によって、ナンを食べられる場所が増えたことも理由の一つだろう。そして、お店側にとっては大量生産しやすく、食べる側にとってはコスパが良い。注文が入ってから生地を伸ばして焼くから、毎日でも楽しめるぐらい最高の美味しさを味わえる。
金沢でよく食べにいくインド料理店アシルワードの「黒胡麻ナン」は、見た目の面白さに胡麻のアクセントもあって、僕の大好物になった!最後はお皿に残っている黒胡麻を集めてカレーに入れて食べるのがお気に入りの食べ方なんだ。よかったら試してみてね。
ここできっと多くの読者が気になるのは、インドでナンはどんな立ち位置なのかという話じゃないかな?インドの人たちは毎日食べているのか、自宅で作ってパンのような感覚で食べるのか、などなど。とにかく疑問がありすぎて、考えれば考えるほど僕の頭の中はナンでいっぱいになってしまう。
調べてみるとインドでは、地域によって主食にするパンの種類が違うようだ。ナンは、北インドやパキスタンでよく食べられているけど、南インドでは見かけることがぐんと減るそう。一般的に、インドの家庭ではチャパティ(全粒粉を使った平たいパン)やプーリー(同じく全粒粉の生地を平たく伸ばして揚げるパン)といった、よりシンプルなパンが日常的に食べられている。
その理由をアシルワードのインド人シェフに聞いてみたら、「そもそも、ナンを焼くためのタンドール窯が家庭にはないんだ。あとは、ナンの生地にはミルクや卵、砂糖も使うけど、それだって頻繁に買えない人もいるし、もちろん生地を作るには手間がかかる。お金と時間の問題もあるし、健康面を考えてカロリーや糖質の低いチャパティを好んで食べる人も多い」と答えが返ってきた。
では、ナンはいつ食べるなん?と知りたくて、それも聞いてみた。「やっぱり外食の時が多い。アシルワードでも最近はインド人のお客さんがすごく増えてるんだけど、チャパティやプーリーの注文が多い一方で、そういうのは家で自分で作れるからナンをお代わりして食べるお客さんも実際にたくさんいる」と。
「なんと!」と、ついつい口から出そうになった。日本人にとってこんなに馴染み深いものになったナンが、インドでは外食の時に食べられる「特別な食べ物」という立ち位置だったなんて!インドの皆さんが遠く離れた日本にやって来て、コンビニやスーパーでも普通にナンが販売されている光景を見ると大きな驚きかもしれないよね。
ところで、日本とインドのナンには、いくつかの違いがあるのを知っていた?
まずは、大きさだ。日本のナンは、大きく作られることが多いけど、インドのナンは一般的に日本のものよりも小ぶりらしい。次に、その厚さ。日本のナンは厚みがあり、もっちりとした食感が特徴だけど、インドのナンは薄めで、パリッとした食感のものもある。大きさは、料理を取り分ける習慣がある日本の食文化にピッタリだし、お得にお腹いっぱい食べられる料理としてのイメージが日本での人気の高さにつながっているようにも思う。あとは、見た目のインパクトも大事なポイントになっているはずだよね!
インド料理を代表する食べ物として、日本で誰でも手軽に美味しさを味わえるようになったナン。その文化的な背景や日本とインドでの違いも知ることができたら、より深く美味しさを感じられるはずだ。やっぱり、美味しさは「知識」からも感じられるってことだよね。
インドの旅はまだまだ続くけど、一緒に冒険しない?