【詩風】自分を嗅いでいる
お年寄りとすれ違った時、
ツンと鼻につくものがあった。
「ああ、これが加齢臭か」
そう思いながら、
ぼくは自分を嗅いでいた。
ある人と打ち合わせをしていた時、
思わず顔を背けたことがある。
「ああ、ひどい口臭だ」
そう思いながら、
ぼくは自分を嗅いでいた。
他人の臭いが気になるたびに、
自分の臭いが気にかかる。
おそらくおならの臭い以外、
自分の臭いには気づかないもので、
だから他人を基準にしてしまう。
街でブーツの女性を見た時に、
思わず一人ほくそ笑んだ。
「彼女はきっと足が臭い」
帰ってそのことを思いだし、
ぼくは自分を嗅いでいた。
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