【詩】朝のにおい
「ああ今日はこのにおいか」
朝、目が覚めて窓を開けると
日替わりでいろいろなにおいが
部屋の中に染みこんでくる。
『このにおい』といったって
別に特別なにおいではない。
何度も嗅いだことのある
ありふれた朝のにおいだ。
ただ、いろいろなにおいを
ひとつひとつ覚えているのは、
そのいろいろなにおいの中に
ひとつひとつの思い出があるからだ。
そのにおいがすると思い出は
瞬時によみがえってくる。
しばらく感傷に浸った後で
においとともに消えていく。
「ああ今日はこのにおいか」
朝、目が覚めて窓を開けると
日替わりでいろいろなにおいが
部屋の中に染みこんでくる。