【詩】風を集めて
中学校の裏手には
小高い丘が続いていた。
人の入らないその丘は
草がぼうぼうと生えていて
蛇やムカデが棲んでいた。
空は滅多に晴れたことなく
丘から下りてくる風が
小さな校庭に落ちていた。
ぼくらはその風を拾い集め
空に向けて蹴り飛ばした。
風は力なく飛んでいき
ゆっくりゆっくり空を舞い
再び校庭に落ちてきた。
ぼくらはそれを受けとめて
力を込めて蹴り返した。
胸やのどに痛みを覚えた
青臭坊主のぼくたちは
飽きずに風を拾い集め
空に向けて蹴り飛ばしては
毎日憂さを晴らしていた。