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新谷勝老
2024年3月14日 17:41
部活を引退したぼくたちを待っていたのは、慣れない夕方ラッシュだった。それまでわりと遅く家に帰っていたので、いつもバスはガラガラだった。短い乗車時間だったけど、だだっ広い空間の中でぼくたちは疲れた体を横たえて寝ていた。それがあまりに心地よかったので、窮屈な夕方ラッシュは地獄に思えた。地獄の思いをして早く家に帰っても受験勉強なんぞするはずもなく、西日の差し込む三畳部屋に引きこも