自分の実感以上に信じられるものなど何もない
自分らしく生きることを追及した心理学者にカール・ロジャースがいます。ロジャースは、真に自分らしく、何にもとらわれずに自由に生きることを徹底的に尊重しました。
(引用はじめ)
徹底的に自分らしく生きよ!
自らの「内臓感覚」に従って!
自分の実感以上に信じられるものなど何もない。それ以外は何も恐れるに足らない。
周囲の人の期待に応えるな!
孤立を恐れるな!
勝手に寄せられてくる期待や押し付けや倫理なのどのすべてから、自分を解放せよ!
自分自身を失うことほど、恐ろしいことは何も無いのだから!
(諸富祥彦、カール・ロジャース)
自分の実感以上に信じられるものなど何もないというのは、デカルトが自分こそが確かな存在であると言ったことに通じますね。
私が大学生だった頃、分析化学実験の授業中に、ある学生が、「この数値が正しいのか、自分がちゃんと目盛を読めているのか自信がない」と言ったことがありました。それじゃ実験にならないじゃないかと周りの学生に言われていましたが、彼の迷いは自然科学の本質です。どのように高度な設備を用いて実験をしても、その結果を見る自分自身があやふやに感じられる場合には、実験自体を信頼することができません。
自分の実感をしっかりとらえることが、自分の周りの世界を捉えることの基礎なのです。