【人事のホンネ】内定式とは?意外と知らない人事の思い。内定式は「踏絵」である真実。
昨日、10月1日。
この日は、内定式を執り行う企業も多かったのではないかと思います。
内定式なんて古いよ・・・とか、
コロナ禍で内定式を取りやめたり、
オンラインにする企業さんも増えているようですが
そもそも、内定式ってなんでしょうか。
今回は内定式について触れていきたいと思います。
1.内定式って何?
内定式とは
簡単にいうと、企業が正式に内定を伝える日です。
内定者から、入社の承諾を得るイベントとなります。
1997年度に日本経団連が中心になって定めた「倫理憲章」に基づき、
9月30日までは、内々定者。
10月1日以降に、正式に内々定を出していた学生に対し
「採用内定書」を発行し、学生から「入社承諾書」を受け取るのが内定式です。
内定式では、入社意志の最終確認を行い、誓約書を交わすことになります。
2.内定式って実は「踏絵」??
内定式で行われる「入社意志の最終確認」。
私はこの「入社意志の最終確認」を「踏み絵」と呼んでいます😅
踏絵って??
ん?
踏絵とは、そう・・・あの「踏絵」です。
江戸幕府が当時禁止していた
キリスト教の信徒を発見するために使用した絵のこと。
これが、内定式とどう関係あるの?ってことなんですが
本来、内定式のあるべき姿は以下3つ。
入社意思の確認
内定者の入社意欲を高める
企業と内定者の交流
もちろん、学生は内定をいただいてから期間が空き、
入社への不安が強くなる学生もいます。
内定式では、改めて企業の説明をしたり、
内定者同士、交流をすることで不安を解消し、
入社意欲を高めることも目的です。
冒頭に書いた「内定式なんて古いよ」なんて言い、
内定式自体を取りやめてしまった企業さんもいらっしゃいますが、
私からすれば、内定式を実施しない企業は
「超人気企業」であり、
学生がきちんと入社してくれる「内定辞退の少ない企業」
が多いのではないかと思います。
実際、内定式直前になると、学生の辞退も増えてきます。
時期的に、公務員試験の結果が出て、辞退・・・
また、就活に納得をしていない学生が、
内定を留保したまま就活を続けているケースは少なくなく、
今よりも良い企業から内定が出れば、内定を辞退する・・・など、
秋口にかけて辞退が増えることがあります。
そして、学生の心理からすれば、内定式の案内をもらい
「内定式に参加してから辞退はやばいな」と感じて
「やっぱりやーめた」と辞退する学生もいます。。。
私自身も、内定式当日にドタキャンする(申し出もなく内定式に参加しない)
学生がいたことも何回か経験しています。
企業側としては入社まで半年をきり、
これから入社するみなさんの準備に入るわけですから
「本当にウチにきてくれるのか」確認したいわけです。
それを私は「踏絵」と呼んでいます。
そのため、内定式なんて時代遅れ・・・とか、
コロナ禍になり、イベントがオンライン化しても
これから先も内定式はなくならないと予想しています。
但し、内定式の時期は10月1日以降であればいつでもいいわけですから、
時期はずれたとしても
やはり「あなたの入社する覚悟を教えてください」って
踏絵イベントは当分続くと思われますね。
そうは言っても、結局・・・
内定式後に全く辞退がないわけでもなく、
常に人事は人出不足の中、確保した人数、内定を出した人材が
本当に入社してくれるのかビクビクしながら過ごすこともあるわけです。
3.内定後の辞退、大丈夫?
一方学生からは
「内定式後に辞退しても大丈夫か?」なんて質問もよくあります。
一般的に悪いことではなく、
辞退したからと言って、法的拘束力もなく罰則もありません。
ですが私の意見としては、極力避けた方がいい行為だと思っています。
理由は、内定承諾や誓約書を書面で取り交わしている場合、
労働契約が一応、成立しています。
そのため、内定承諾後の辞退は一種の
「違反行為」とみなされても仕方ないからです。
企業側としては、学生の意志を確認し、
入社までに必要な、備品・物品の購入、また、内定者研修や諸々関わる費用など、費用が発生しているケースが殆どです。
(内定管理は、めっちゃ、お金かかるわけです。。。)
損害賠償請求をされても仕方ない場合もあります。
私が知っている限りでは、
実際には損害賠償請求をしたケースはありませんが
(まともな企業さんが多いですから、そこまではしていないですが)
稀に、本人に代わって学校側が企業へ謝罪をしたり
(イチ学生がしたことでも、学校のイメージダウンを避けるためです)
まともな企業であれば、
損害賠償請求や、謝罪など、企業もそこまでは望んでいませんが、
学生に莫大な時間や労力、コストをかけているのは確かですから、
学生本人も、そこまでの対応とならないように、
注意していただきたいなと思っています。
4.辞退の際の注意点
できれば、内定を承諾するのに戸惑いがある場合には、
正直に企業側に相談をされた方が良いですね。
そして辞退を決断したら、できるだけ早めに企業に連絡を入れてください。
逆に遅れることで、企業側に迷惑が生じます。
また、結構多い割合で、学生さんが辞退について、
テンプレートのような心無いメールを送ってきます。
せっかく良い人材だと思っていたのに
正直「残念だな〜」と感じます。
企業側としては、たった数ヶ月の間でも、
学生さんを愛情持って対応しているわけですから
「なぜ自分の企業が選ばれなかったか」
辞退の理由を明確に伝えていただくと、誠意があって良いかなと感じています。
理由がしっかりしていれば、企業側も納得しますし、
辞退を申し出されて、無理やり入社させようとは致しません。
無理に入社していただいても、離職の可能性が高まるためです。
正直に伝えてくれたら
「あなたが活躍できるフィールドでこれからも是非頑張ってね」
心から応援できるようになります。
企業側から連絡をしても繋がらなかったり、
去り際がしっかりしていないと、
学生への不信感や、学校に対してのブランドイメージも悪くなりますから、
一本、お断りの電話を誠意を持って行うことが良いでしょう。
まとめ
内定式は、企業にとっても学生にとっても重要なイベントです。
綺麗事をいう企業は多いと思いますが、企業としては
内定式は「踏絵」。
本当に入社する意志があるか確かめる日。
学生は、自身の意思を明確に持ち、
企業との信頼関係を築くために誠実な態度で臨むことが求められます。
また、万が一、内定式後に辞退をする場合は、
速やかに企業に連絡を入れること、企業側に誠実な対応が必要と考えます。
内定式は
企業と内定者、信頼関係を構築し共に明るい未来を築いていくために
必要不可欠なイベントです。
この大切な一日を通じて、
新しい一歩を踏み出す内定者の皆さんに
幸運と成功をお祈りしています。