校正のはなし
こんにちは。
MASKMAN Inc.ディレクターの高須と申します。
この度「校正」というテーマで、初めて自社のnoteに記事を書くことになりました。
(というか、人生初noteです)
校正について語ると言っても、特殊な訓練を受けた訳でもなければ、ある日突然スタンド※能力が目覚めた訳でもありません。
これまで携わってきた校正の経験を通して独自に確立した考え方をお届けできればと思います。
なので、この記事を読んで実行しても校正のプロとして認定される訳ではありませんが、皆さんの日々の仕事や生活に少しでもお役に立ったら嬉しいなと思います。
01.この記事で定義する校正
まずはじめに、何を校正するのか?について、先に定義しておこうと思います。
それは、誤字脱字と読みやすさです。
一般的に定義される「校正」や「校閲」(以下参照)のすべてを網羅するものではありません。
誤字脱字と読みやすさの2つに特化する理由としては、クライアント(または原稿を書いた人)の思いを尊重したいからです。
02.環境と心構え
校正を行う時は、まず自分に合った環境を整えましょう。
静かな部屋、移動中の電車の中、音楽を聴きながら…など、あなたが集中力を高められる環境であれば何でも良いと思います。
「こういう環境下だと自分は集中力が低下するな…」という環境は避けるべきだと思います。
また、校正を行う時の心構えを掲げましょう。
「クライアントの不利益を防ぐ!」
「誤字脱字0%宣言!」
「校正の鬼と社内から恐れられる人間になる!」
「石原さとみさんみたいな校閲ガール※を目指す!」
なんでもいいです。
校正に向き合うあなたの気持ちが引き締まるテーマを、心の中に掲げてください。
03:誤字脱字
それでは、定義の一つ目「誤字脱字」についてお話ししていきます。
(以下に続く各カテゴリについては、私の独断と偏見ですので、「〇〇について書かれていないぞ!」といった苦情は一切お受け致しません。)
数字とアルファベット
誤字脱字の校正において、もっとも重要な要素が数字とアルファベットであると言えます。
極端な言い方をすれば、ちょっとした日本語の変換ミスなどの誤字脱字は、文脈から察することができれば、読み取ることはできます。
ただ、数字とアルファベットは誤字脱字があるとクライアントやユーザー、第三者の不利益に直結するケースがあります。
以下、その一例です。
また、金額の表記で数字の呉字脱字と併せて注意したいのが「,」(カンマ)の表記です。
カンマの位置が間違っている、カンマが小数点になっているといったケースは意外と起こりがちです。
例えば「¥90,000」とするところを「¥90.000」となっていた場合、悪意のあるユーザーが「9万円じゃなくて90円と書いてある!」と主張する可能性もないとは言い切れません。
「商品の相場的に90円なわけないだろ…!」と言いたいところですが、そういったトラブルを招く可能性もクライアントの不利益になりますので、注意しましょう。
固有名称
社名や商品・サービス名、著名人の氏名など、固有の名称の誤字脱字にも注意しましょう。
原稿通りになっているかの確認は勿論ですが、公になっているものであればググれば大抵はヒットしますので、原稿が間違っていないかどうかも合わせて確認しましょう。
一般的には校閲と定義される領域にもなるかと思います。
表記揺れ
例えば「子供」という表記と「子ども」という表記が混じっているケースです。
ユーザーが文章を読む上では特に影響はないのですが、表記が整った文章という視点に基づいて揃えることをお勧めします。
とはいえ、クライアントが展開する媒体すべてを統一することは現実的に難しいと思いますので、一つの紙面やページ内など、ある程度範囲を割り切って整えていくという考え方で十分かと思います。
ただ、気を付けなければいけないのが、表記揺れがあることによって表記を正当化してしまうケースです。
例えば、金額の表記で以下のような表記が混在している場合、ユーザーはそれを表記揺れとは考えずに、「何か意図が含まれているのか…?」と捉える可能性も考えられます。
上記は極端な例かもしれませんが、こういった万が一を防ぐために表記揺れにも十分に注意していきましょう。
レギュレーション
企業によっては表記を規定している場合があったりします。
例えば「子供」ではなく「子ども」と表記を統一するといったケースです。
他にも「問合せ」ではなく「問い合わせ」と送り仮名を規定するケースもあったりします。
これはクライアントによるとしか言いようがないので、そういったレギュレーションなどが存在するかどうか確認いただくしかありません。
ただ、レギュレーションが存在するということはクライアントがその点について拘っているということですので、規定がある場合はそこに合わせていくことも校正の一つのポイントになります。
04:読みやすさ
さて、二つ目の定義「読みやすさ」についてお話ししていきます。
美しく読みやすい文章とは何かという話になると、私の知識では作家や国語の先生には遠く及びませんので、あくまでも普段気を付けている2点に絞ってお話しさせていただきます。
句点と読点
まず一つ目が句点と読点の位置です。
商品やサービスの説明、規約、インタビュー原稿など、ボリュームのある文章は文の文字量も多くなりがちです。
そういった文章を読んでいる時に、句点や読点が少ないものは読んでいて結構しんどくなります。
なので、適度なリズムで句点と読点を入れてあげると読みやすくなります。
校正というよりは原稿を書き起こす際の注意点とも言えますが、ニュアンスを崩さない程度に整えていくのも校生の一環と考えています。
自然な文脈
いわゆる「てにをは」というやつです。
これを整えることで、文がもっと読みやすくなることがあります。
(よく「●●の▲▲の■■の××が〜」というテキストを見かけますが、「の」が続く文が嫌いなのは私だけでしょうか…?)
ただし、同時に意図やニュアンスを変えてしまうリスクも潜んでいますので、慎重に取り扱う必要があります。
一方的に「間違っている!」と決めつけて修正するというよりは、「こうした方が読みやすいのでは?」と相手方(クライアントや原稿を書いた人など)に提案する方が良いと思います。
05:校正のテクニック
テクニックと呼んで良い代物かわかりませんが、個人的にはこうすることで校正の効率が上がる(と信じている)ポイントが2つありますので紹介します。
一つ目は、音です。
「え?文字の話をしてるのになんで音なの?」と思われたかもしれませんが、音にするのはあなた自身です。
文章を口に出して音読しながら校正してみてください。
声を出せない状況や声に出すのが恥ずかしい人は、心の中で音にして読んでください。
文章を目で追うだけではなく、音でも追うことで校正の効率は格段に上がります。
二つ目のテクニックは予測です。
校正の経験が増えると、間違いがある箇所に予測が立ちます。
この予測があるかないかで、気付きの部分に大きく差が出てきます。
もし次に校正をする機会があったら、前回校正した時に見つけた間違いを思い出してみてください。
同じ間違いが、意外とあります。
あなたがよくする変換ミスがあったら、それを思い出してみてください。
06:校正力が身につくとこんな良いことがある!
ここまで読んでいただいて「そもそも仕事で校正する機械なんてないし…」と思われている方もいるかもしれません。
(そう思われた方は、多分ここまで読んでくれないと思いますが…)
でも校正力がアップすると、意外と日々の仕事や暮らしに役立ちます。
いかがでしょうか?意外と役に立ちませんか?
07:最後に
ここまでお読みいただいて有難うございました。
実はこの記事の中に、誤字脱字が混じっています。
あなたは気付きましたか…?