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『ウェールズ語の基本』が新しくなったよ!
弊社刊行の『ウェールズ語の基本』が、新版となりました。
これまで、ダウンロード形式で別売り扱いだった音声が†無料†になりました。
(これまで、興味を持っていただけても、音声がDLで別売りというのを知って離れていってしまったお客様もいるのではないでしょうか……)
白水社さんも大学書林さんも、研究社さんも出ていない、日本で唯一の、ウェールズ語です。
……宣伝はここまで。
***
日本で発売されているケルト語の独習書は、大学書林から出ている一連の、
・『ゲール語基礎1500語』
・『ゲール語4週間』
・『ゲール語読本』シリーズ(3巻まで)
・『ゲール語会話』
・『アイルランド・ゲール語辞典』
に加え、研究社の
『アイルランド語文法(コシュ・アーリゲ方言)』
そして
『ニューエクスプレス+ アイルランド語』
と、アイルランド語が圧倒的多数派です。
念の為。今日ではもっぱら、日本語では「アイルランド語」と呼ばれていますが、「ゲール語」という名称もありました。
私自身も、最初のケルト語派はアイルランド語でした。
そのときに使ったのは、「ロゼッタストーン」。
↑美容室で並べられる雑誌なんかで、よく広告を見かけました。黄色いやつね。
かつては高価で、とても試せるような価格ではなかったと記憶しているのですが、ここ数年、DL版が安価になり、なんかのキャンペーンで大幅な割引が
なされていたときに、購入しました。
ロゼッタストーンは、イマージョンメソッドを採用しています。
つまり、文法の説明がありません。新出語の訳語も出ません(ここが、duolingoと大きく違うんですね)。
もし、完全にロゼッタストーンだけで学習を進めたらどの程度身につくのか、実験してみました。
体を張った実験(というほどでもない)
この時点で、ケルト語派・アイルランド語に対する予備知識は、
・綴りと発音の関係が複雑
(「こんにちは」は”Dia dhuit”と綴って“ヂア・グイッチ”と発音するらしい)
・語頭子音が様々な条件で変化するらしい(緩音化?)
・VSO語順らしい
の3点だけでした。
ロゼッタストーンは、まず大きく「ユニット」に別れ、各ユニットは「レッスン」に別れています。
はじめにやや長めの「コアレッスン」(20~30分くらい?)があり、ここで扱った内容を、その後の短い「発音」「語彙」「文法」等で復習しながら身につける構成になっています。
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ユニット1のLesson1、コアレッスンを開始すると、まず画面に大きく2枚の写真が出ます。

「こんにちは」(であろう)フレーズの音声が流れます。
このとき、必ずそれぞれの人物は同性ではなくて、声をヒントにどちらかを推測できるようになっています。
正解すると次の画面。
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このように、基本的に全て問題形式です。
***
この後、2年間くらい、週に4、5回は、1日10分から30分ほど取り組みました。
問題には答えられるようになるし、積み上がっている感じはするのですが、
・既習単語の一覧が出せない
・語頭子音の変化する条件がわからない
点がネックです。
文法については、“他の条件が同じならどうなる?”と対照実験式に問題が進むため、試行錯誤はあれど、身につきます(ただしそれを自身で抽象化して、言葉に直して説明できるか、は別ですね)。
語頭子音の変化条件も、勘のいい人ならわかるのかも。
「既習単語」については、やはりその都度手元でメモを作っていくしかないですね。問題中に、綴りを問う出題はあるのですが、基本的に視覚と聴覚だけで進めているので、いざ綴りを尋ねられるとわかりません。やっぱり書く(/打つ)しかありません。
ひとつの画面に出た問題に全て回答したときに、自動で次のページへ遷移する設定をオフにして、その画面にある文章を全て手書きしてから進む、という使い方がいいかなと感じました。
所感
扱う語彙や表現は、現代の都市部であれば、どの地域であっても遭遇するような語や場面になるべくなるよう、設計されています。その言語が話されている地域の文化とはトレードオフになっているということです(だからこそ多言語展開できるのですが)。
その他
以上の話は、アイルランド語では、という限定付きです。
そこで、日本語話者が同じようのロゼッタストーンだけを使って韓国語、中国語、アラビア語をやったらどうなる、という実験もしたのですが、それはまた別のときに。