年を上回った今でも。
アニメ、ドラマ、映画、小説。
登場人物の中には、物語の中で年を重ねていくものと、そうでないものがいる。
自分にとって、ずっと「先生」だった存在が
いつの間にか自分の方が年上になっていて、驚いたけれど
先生であることに変わりはないなと思った、最近のこと。
いつの間にか、年下の先生
久しぶりに、ドラマ『ごくせん』を見た。
任侠一家で育った、熱血教師、山口久美子(通称:ヤンクミ)が、不良揃いのクラスの担任として奮闘する、学園ドラマだ。
昔、大好きなドラマだった。
一時期影響を受けて、言葉遣いが少しだけ物騒になった時期もあったけれど、それさえも懐かしい。
そして
作中で、ヤンクミが「23歳」と言っていて
私…彼女の年齢を結構上回っている…と、驚いた。
大学卒業してからもう何年も経つし、考えてみれば当然のことなのだが。
23歳の時の自分は、こんなに人間的に立派だったとは言えないし
今でもまだまだ、未熟者だ。
…こんな感じのことが、最近よくある。
例えば、『クレヨンしんちゃん』を見ていて
しんちゃんが5歳であることに対しては何も感じていなかったけれど
その親である“みさえ”と“ひろし”。
みさえが29歳、ひろしが35歳と知った時。
子供が2人いることや、一軒家に住んでいることなど
色々なところに急にリアリティーを感じた。
馴染みのキャラクターが
年上から同級生に。
同級生から年下になっていくのは、嬉しいような、切ないような…時々、不思議な気持ちになる。
大切なことは、いつの時代も変わらない
多少、時代は変わったけれど
それでも“本当に大切なこと”って、変わらないな、と思う。
たとえば
挨拶は、人と触れ合う基本。
子供でも大人でも、間違えた時は謝ること。
喧嘩と暴力は違うこと。
喧嘩は「大切なものを守りたい」という熱い気持ちでするものだということ。
人は、1人では生きていけないこと。
自分を信じてくれる人が、1人いれば、生きていけること。
人からなんと言われようと、堂々と胸を張って生きていけばいいこと。
失敗したって何度でも、いつからでもやり直せること。
…あげたらキリがないくらい、たくさんある。
多少言葉使いは荒くても
無駄のない、まっすぐな言葉。
仲間由紀恵さんの、ハリと迫力のある声と表情。
年齢は関係なく
今でも大切なことを教えてくれる、先生だ。
教えを説く。
自分が高校生になるまでや、その後しばらくの間は
「教えてもらっている」感覚だった。
ドラマの生徒たちと同じように、自分も不良クラスの一員として怒られたような気持ちになったり
こんな大人に出会いたかったな、と思ったり。
大人になった今は「思い出させてくれている」感覚だ。
同時に、“大人としてのあり方”を「教えてもらっている」ような気もする。
こんな大人でいるようにしよう。と思ったり。
自分だったら、この問題にどう対応するだろうか、と考えたり。
そして
教えてくれるだけじゃなく
時には“喝”を入れてくれる。
言葉が刺さりすぎて、ちょっと胸が痛くなる時もあるけれど
それでもハッとして、目が覚めるような
気合いが入るような
そんな素直さと、パワーをもらえるような気がしている。
中でも、何度でも刺さる言葉。
いいものも、よくないものも。
過去って色々あると思う。
どちらも今の自分を形作っている、一部であることに変わりはないかもしれない。
でも中には
いつまで覚えていても、もうどうにもならないこともある。
それは痛みや苦しみを思い出すだけで
悔しかった、悲しかったといくら嘆いていても、もう変えることはできない。
未来を変えることはできるかもしれないけれど。
そんな時。
半ば強制的に
「終わったこと、うだうだ言ってないで、前向こう!」って
何もかも放り出して、未来だけに目を向けた、とことん前向きになれそうな気持ちの持っていき方で、いいなと思った。
何か過去に苦しむことがあったら
今度はドラマを見て先生に言われなくても、心に留めて
自分で自分にこの言葉を投げかけられるようになりたい。と思う。
若者向けの言葉に思えるけれど
いくつになっても大切にしたいと思っている言葉。
いくら順風満帆に見える人でも
きっとみんな、何らかの挫折を乗り越えているんだ。
それを忘れてはいけないな、と思う。
どうして自分ばかりこんな目に。と思ったり
誰かを羨ましく思えてしまう時もあるだろう。
…もしかしたら自分だって、誰かの目にはそう映っているのかもしれない。
その時に、ここまで順風満帆に来たんでしょ。なんて思われたくないから。
だから私自身も、みんな頑張って生きているということをちゃんと讃えて、尊敬して生きていきたい、と思った。
『ごくせん』を見ると、いつも思う。
先生の、生徒との向き合い方。
まず最初に、「本気で」怒ってくれる。
つまり、一人一人と本気で向き合ってくれる。
次に「なぜ怒ったのか」、「何が間違っているのか」教えてくれる。
最後に「お前ならできる」と信じ、背中を押してくれる。
…こんな感じの気がするのだ。
誰もが当てはまるかどうかはわからないけれど、少なくとも私は
心がささくれて、後ろ向きになっているところから
素直になって、前を向くところまでちゃんと見守ってくれているような、そんな温かさを感じる。
印象に残っているシーンやセリフは数えきれないほどあって
それこそ言葉のノートに書き留めているものもたくさんあるけれど
今回は、久しぶりにドラマを見て思い出した、挫けそうになったら何度でも喝を入れてもらえるような言葉を残しておこうと思う。
また、自分にとって必要な時に出会えた言葉を
大切に、心に刻んでいけたらいいな。
2024.10.13