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日焼けの軌跡

足が、日に焼けていた。

パンプスの形をしている。
綺麗なカーブを描いていて、まるでパンプス用の浅い靴下を履いているようだ。

去年は、一昨年はどうだっただろうか…と考えてみるも、思い出せない。

不思議なことに、今年初めて気がついた“パンプスの日焼けの跡”を見て、これまでの人生の軌跡のようなものを少し振り返った、暑い夏の夜のこと。


「半袖・半ズボン」の跡


小さい頃は覚えていない。気にも留めていなかったのだろう。

小学生や中学生の頃ぐらいだろうか。


くっきりと、「半袖・半ズボン」の日焼けの跡が残っていた。

小学生の頃は
ほぼ毎日、体操服を着ていたような気がするし
中学生の頃は
テニス部で着ていた体操服やユニフォームの跡。

思えば、6年間と3年間で…トータル9年。

冬が来たり、体操服を着ない日もあったけれど
それでもそれだけの期間を、ほぼ同じような袖丈の服を着ていれば、体の色も変わるはずだ。

さらに
「手」の表と裏の色が、“白”と“黒”になっていたのも懐かしい。


「靴下」の跡


中学を卒業してからは、運動量もめっきり減ってしまった。

そこからようやく「色黒」なキャラクターから、徐々に「色白」と言われるまでに変化していった気がする。

この時期は、「靴下」の跡だ。

約20センチほどの、なんとも中途半端な長さが規定だった。
下がっていても、長すぎても先生に注意されてしまう。

そのため、多くの生徒はソックタッチを使い
中途半端な位置に日焼けをしてしまうのだった。


「パンプス」の跡


今年初めて、「パンプス」の日焼けを発見した。

昨年からお気に入りのものがあり、セールの時に2足、色違いで購入したものだ。いつも同じものを履いていれば、当然かもしれない。

足の甲だけでなく
側面や踵の方も、見事に焼けている。


…こうして日焼けの軌跡を振り返ってみると
自分で言うのはなんだか変な感じがするけれど


成長したな…と思った。


子供の頃と今の日焼けの跡を比べると
“服装”や“身につけているもの”の変化を感じるのだ。


肩についていたら注意されてしまうため、常に縛っていた髪の毛も
時に下す日もある。
制服やTシャツを着ることがほとんどだった頃と違い
7部丈のブラウスを着たり、丸襟以外のTシャツを着ることもある。
…だから、首元の焼け方が違う。

最近は暑すぎて、とても付ける気にはならないけれど
日焼け防止に「アームカバー」をつけたり、薄い長袖のカーディガンを羽織っておくこともあった。
初めて“日傘”を手に、外出した時は大きく感動したものだ。
以前よりも“日焼け対策”の意識が高まったのかもしれない。


特に
「靴下」から「パンプス」という足元の変化は
「子供」から「大人」へ、といった変化を感じた。


日焼け止めをいくら塗り直しても、防ぐことができなかった頃が懐かしい。
それだけ常に、外で活動してたのかもしれない。

…最近は、外に出ると危険な暑さですらある。

感慨深いというか、
一日中外にいることもあった夏が、ほんの少し恋しいというか…。


番外編「マスク」の跡


2、3年ほど前の夏。

コロナ対策のため、マスクを常にしていた年だ。
うっすらと、マスクの形に日焼けをしている気がして、ギョッとなった時があった。

暑くて、苦しくて、マスクを外したい。
でも、恥ずかしくて外せない。
…こうして外せずにいる間に、日焼けの跡が濃くなっていく。

という負のスパイラルだった。

…今年も気をつけよう。



日焼けにたいして
子供の頃は、恥ずかしいというよりも
“勲章”のような意味を持つこともあった。

夏休み明けに
「すごい焼けたね!」
「みてみて!こんなに焼けたんだよ!」
という会話をしていたクラスメイトたち。
当時はどんな意味を持っていたのか。今となっては微笑ましい限りだ。




2024.8.14

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