かさぶた5日間日記
新しい街に引っ越して、5日が経過した。
明日からは初めての土日だ。
この5日間の初日。
私は“右手の中指”に傷を作った。
この傷が“かさぶた”になるまで。
経過とともに、振り返ってみる。
1日目
初めて鍵を使って中へ。
掃除をして、荷物を片付けながら、時々家具や家電が届く。
ガス屋さんや電気屋さん、お部屋のことやインターネット関連のトラブルで、苦手な電話三昧。
なんとしても寝床は作らねば。
ダンボールだけは今日中に無くす。
…この目標だけ達成し、一時休戦。
【かさぶた日記】
ダンボールの開封時、右手の中指を切ってしまったらしい。
全く気づかず、タオルに血がついているのを見て初めて気づく。
絆創膏を二枚重ねても血が滲む。
何をするにも、痛みと、絆創膏による動かしにくさでうまくいかない。
2日目
役所にて手続き。
片付けの続きと、買い出し。
役所の方がとても親切で救われた。
白シャツに、デニム。グレーの髪に、ワイルドな目力。
心の中で「ジョージクルーニーさん」と呼んでいた。
帰り道、シャンプーや洗剤などのボトル類が重たい…。
夜にはようやく落ち着くお部屋に。
食器が使える喜び。コップで飲むと美味しいし、お皿に盛り付けて食べるともっと美味しい。
明日の夜には友達と会う約束が。
それまでになんとか全て片付けたい…!
【かさぶた日記】
絆創膏一枚で良くなってきた。
手を洗うときに、濡れてしまうと痛む。
シーツやタオルに血がついてしまわないかソワソワ。
3日目
久しぶりに友達とご飯。
ジャーマンポテトのチーズ焼きと、アスパラのベーコン巻き。
食後にナッツのパウンドケーキとウィンナーコーヒー。
美味しかった。
近況を話せてよかった。また会えそうで嬉しい。心強い。
【かさぶた日記】
絆創膏卒業。
しかしカバンから鍵を出す際に、ファスナーがかさぶたに直撃。
玄関にて、再び出血。そして悶絶。
4日目
銀行開設や、職場までの通勤経路確認。
初めて行く街。
久しぶりに行く街。
ワクワクと、ソワソワの1日。
小さな造花の“紫陽花”を一輪、購入。
110円でキッチンに癒し空間が現れ、大満足。
【かさぶた日記】
傷の存在を忘れるほど回復。
時々思わぬところでぶつかり、痛み、思い出すことが数回あった。
5日目
一度、実家へ。
【かさぶた日記】
すごい。大きかった傷が小さな丸になっている。
塞がれていっている様子から、皮膚の治癒力を改めて感じる。
押すとまだ痛いけれど、頼もしい厚みのあるかさぶたに成長した。
契約や、手続きなど
初めてで不安なことに関して、説明してくれた方や対応してくれた方が親切だと、本当に心が「ありがとう」でいっぱいになって、安心感に包まれる。
一方で
少しでも当たりの強い態度や発言に出くわすと、不安は2倍にも3倍にもなってしまう。
本当に些細なことなのだけど
思い出や印象として結構根強く残ってしまうもののような気がする。色々な人に出会って、色々な人と、自分にとっては少し難しい話をすることが多かった5日間。
救われたり、動揺したりしたけれど
あまり相手の言動に振り回されすぎずに
「とにかく手続きができたなら、いいや」という精神をもう少し強く持ちたいと思った。
あの言い方、ちょっとキツかったなー。とか
あの態度、ちょっと冷たかったなー。とか
そういうものをさっさと手放して
明日のことを考えよう。
気づけばそれらも“かさぶた”になって、
きっといつの間にか忘れているんだ。
現に中指の傷だって、3日目には絆創膏を卒業していたではないか。
…今週はよく頑張った、私の身体。お疲れ。
2024.6.7