海外移住したら年金は受け取れる?国民年金で利益を上げる人生の考え方
すごく現実的な話をしますが、私は自分がもらえる年金額を毎年把握しています。
「年金制度は破綻している」「入る意味はない」などと悲観的に言われていますが、年金制度の優れた点は65歳(または60歳)から"死ぬまで"もらえることです。
海外移住と国民年金の前提
2020年現在、日本では国民年金の加入が義務付けられています。
40年間保険料を支払った場合の給付満額は年間77万9,300円。受け取る金額は月6万5,000円です。ここから加入期間によって減少していきます。
例えばちょうど10年支払ったところで海外移住して日本の国民年金制度から抜けても、65歳になって年金請求手続きをすれば海外にいても年金を受け取ることができます。
(※年金は65歳から自動的に支払われるものではなく自分で請求するもの)
【海外で暮らす人が知っておきたいポイント】
①海外に住民票を移すと日本の国民年金・保険制度から脱退できる(加入義務がないだけで任意加入は可能)
②海外転出届をだすと協定国との合算期間の対象となる。対象の国であれば収めている受給資格期間としてカウントできる(cf:日本が社会保険制度の協定を結んでいる国-日本年金機構より)
③海外転出していても、加入期間を満たしていれば海外で年金を受け取れる
覚えておきたい前提はこのくらいです。
今後年金制度がどう変わるかにもよりますが、払ったものが全く返ってこない可能性は低いでしょう。
支払い<受け取りになる年数は?
ここで考えておきたいのが「自分が支払った金額<将来受け取れる金額」になっているかです。
ざっくりとした計算ですが、もし加入期間10年ちょうどで海外移住して(もしくは任意加入を抜けて)国民年金から外れると、65歳から年間30万円程度が給付されます。
10年間で支払った金額はおよそ230万円なので、約8年で支払った金額が返ってくる計算。さらに"死ぬまでずっと"年間30万円ずつもらえます。
つまりさらに73歳から90歳まで生きた場合、17(年)×30(万)=510万円がプラスで受け取れるわけです。
230万円のお金が740万円になるというわけですね。利回り3%くらいでしょうか。
なんとなく自分の寿命は80〜85歳くらいかなと想像していますが、医学のさらなる発達でもしかしたら100歳まで生きる可能性もあります。事故死などはしょうがない。
もし60歳から受け取った場合は、繰り上げ受給として30%が削られるので年額21万円。およそ11年で支払った金額と逆転し(71歳)、そこからはただ利益を受け取るだけになります。
さらにこのまま日本の国民年金に加入し続けた場合。
例えば海外に転出しても『任意加入』をして年間20万円を払い続けた場合(2020年時点の基礎年金額は月16,540円)
60歳までで総額800万円近くを払い、年間50〜70万円を受け取って約11〜15年で支払額を上回ります。
その後受け取れるリターンは死ぬ年数で変わってきますので、興味のある方は計算してみてください。(ネット上に自動計算サービスがあります)
年金を投資として考える思考
投資のリターンとはちょっと違いますが「死ぬまでの支払いが補償されている」ってすごいメリットです。
もし田舎で家を持って自給自足する場合なら、ちょっとした現金収入があれば十分生きていけます。
国民年金なんて『自分ではどうにもできないこと』と思われがちですが、自分がリターンとして受け取るであろう金額を想定した活用ができます。
もちろん別口で投資や不労所得の準備もしておくとより快適な老後を送ることができます。
また、年金は加入資格(払った期間など)を満たしていれば、海外と日本の両方を受給をすることもできる可能性もあります。これは国によって異なるため、移住する際に詳しく調べるつもり。
日本は現在17〜20ヶ国と合算期間にできる社会保障協定を結んでいますが、それ以外の国に住んだからといって日本の年金の受給資格がなくなるわけではありません。
むしろ20年日本に住んだら20年は別の国で暮らして、60歳を過ぎたら好きな国で両方の年金を受け取る生活なんて良くないですか。
本当にできるかは未知数な部分も多いですが、そういう人生を選択できる可能性があるのも現代ならではだと思います。
例えばタイの場合、180ヶ月以上(15年)の加入で55歳から給料の20%を年金として受け取れます。日本と協定を結んでいない多くは制度が固まっていない後進国で、まだまだ年金制度の歴史が浅いので今後の動向に注目です。
もちろん国の情勢や年金制度の完全破綻も、自然災害と同様に起こりうることですのであくまで保険です。
年金についてぼやっとしか知らず、なんとなく毎月数万円を払い続けるくらいなら、自分で計算してお得になる人生の方がいいですよね。
一見すると難しい制度と敬遠してしまいがちですが、自分がいま何にお金を支払い、どういう生き方をしているのか計算するのは大切だと思います。
RPGのコイン集めみたいな感覚で楽しんでやってみるのも良いのではないでしょうか。
私は移住先の候補をいくつか決めた時点でその国の年金制度を含めた社会保障をかなり綿密に調べています。
盤上のルールに縛られるのがいやなら、自分からルールを逆手にとって好きに生きたい。
それができる贅沢がいまの日本人にはあるように感じています。
最後までご覧頂き、ありがとうございました。
注*この記事は筆者の考察を含みます。制度上、確定された事項ではありませんのでご留意ください。
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