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覇者たるヒトへ……(1分で読める短編小説)

ヒトが地球上で覇者となったのは何故か。これほど発展したのは何故か。けれど争いが絶えないのは何故か。なのに愛を語るのは何故か。

ヒトに分類される人間が、動物との違いがあるとするならば何だろう。これからも進化を続けてどこへ向かうのか。

──分からない、教えて欲しい。

ある人が言った『言語』だと、ある人が言った『文化』だと、ある人が言った『DNA』だと……

世間には言葉が溢れている。あらゆる言語で踊るように風に乗ってくる。

複雑な物事も理解できるようにするのが、言語の始まりか。

そして文化が生まれるのか……文化によって発展したか。違いと競いから争いが生まれたか。

生存本能から発達したDNAは、他の種との違いを出し生き残ったから今も刻まれているのか。

愛を語るのも生存本能だからか。そしてまた人数が増え、あらゆるモノを知識で管理し覇者となったか。

動物と違い、生存本能とは別に命を奪うことができる覇者。

覇者となったキミ達は地球上で溢れて、その多さに絶えきれず、次は誰に銃口を向けるのか。……自身だろうか。

歩んで行くその先に、何があるというのか。そんなに惹かれるものか。

進化によって生き残った術を魂に刻んだためか。

『言葉の花』を咲かせないか。
分かり合いたくて言葉を生んだ。言葉の花を贈らないか。

『文化の花』を咲かせないか。
違いを発見しては、知識とし一緒に花見を楽しまないか。

『DNAの花』を咲かせないか。
悲しみに打ちひしがれる誰かを助けるために。ヒトは未完成だから未完成を好むだろう。集まって彩り豊かな花束を作らないか。

愛は本能だけじゃなく、孤独を癒し、笑顔の花を咲かせる。ならば愛の花冠を一緒に編まないか。

動物とヒトの違いで、ある人が言った──────『心』だと。

今一度問うた。

『覇者たるヒトへ……同胞たるヒトよ、その銃を下ろしてくれないか』




End.


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