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『スケルトン・キー』
まんまと爽快にハマった。
『スケルトン・キー』道尾秀介
週刊誌記者のスクープ獲得の手伝いをしている僕、坂木錠也。この仕事を選んだのは、スリルのある環境に身を置いて心拍数を上げることで、自分の狂気を抑え込むことができるからだ。最近は、まともな状態を保てている。でもある日、児童養護施設でともに育った仲間から電話がかかってきて、日常が変わりはじめた。これまで必死に守ってきた平穏が、壊れてしまう―僕に近づいてはいけない。殺してしまうから。あなたは死んでしまうから。(Amazonより)
『いけない』や『カエルの小指』を読んでいたから、常に疑心暗鬼になりながら、どこかに伏線が張られているんじゃないかと疑いながら読めるのが楽しかった。
破れたダウンを着ていることに疑問があったり、心拍数を下げる薬を服用していることから、主人公は本当にサイコパスなのか?演じているだけなのでは?と思っていたら、まさかの双子とは。。完全にノー警戒で騙された。
個人的にここまでサイコパスについて、わかりやすく描写されている作品が初めてで、些細な言動や思考回路がとことん利己的で寒気を覚えた。また、双子とすることで単なるサイコパスというだけではなく、そこでの差異も現れていて物語に深みが増していて、掌でまんまと踊らされているように感情が移り変わり、作者が本当に精密に計画した完璧な作品を堪能している気分だった。
最後の拍子抜けしつつも亡き母からのシンプルな子への愛情や、生まれてきてくれることへの感謝や全肯定を感じられた。
余談だけど、斜に構えているわけではなく、イラストとモナリザについて、幸せそうに微笑んでいるように見えるのが自分は逆だった。そういえば人といるときに、右側にいないと落ち着かない癖があって、顔の右側をあまり見られたくないのかも。