『巴里マカロンの謎』
マイマスター、11年ぶり待望のシリーズ最新作。
『巴里マカロンの謎』米澤穂信
ここにあるべきではない四番目のマカロンの謎、マスタードが入った当たりのあげパンの行方。なぜかスイーツがらみの謎に巻き込まれがちな、小鳩君と小佐内さんの探偵行。「小佐内先輩が拉致されました! 」「えっ、また」?お待たせしました、日々つつましく小市民を目指す、あの互恵関係のふたりが帰ってきます。人気シリーズ11年ぶりの最新刊、書き下ろし「花府シュークリームの謎」を含めた番外短編集。四編収録。(Amazonより)
日常・学園生活に潜んでいる些細な出来事を、緻密に推理・考察していくミステリー。
この作品を読むと、ミステリーってのは、舞台の大きさや事件の凄惨さだけではなく、どの角度・視点から事象を捉えるかってことが大切な要素だと思わせてくれる。
更に、冷静な分析・推理と「お菓子」という似つかわしくないテーマのアンバランスさが奇妙だし、小山内さんの甘味にかける危ういほどの真摯すぎる姿勢が、いい意味で物語のスケールの小ささとギャップを生み出していてクセになる。
そして、古城家を取り巻くどこか寒々しいエピソードが、平凡な舞台に味わいを足していると思う。
個人的には『伯林あげぱんの謎』が伏線回収も見事でオチも秀逸で特に好き。
作者のこれからの新作を早く読みたくてしょうがない。