
『ここは、おしまいの地』
悲劇と喜劇は表裏一体。
『ここは、おしまいの地』 こだま
田舎の集落で生まれ、規格外の人生観をもつ家族のもと「当たり前」すら知らずに育った著者。悪臭立ち込める新婚生活を経て、病気で無職になってからも災厄続き。それでも折れない清らかな花のような佇まいで、ユーモラスに綴る愛しき半生とは。『夫のちんぽが入らない』から一年、第34回講談社エッセイ賞受賞作。(Amazonより)
『夫のちんぽが入らない』で赤裸々さと壮絶さに圧倒されてから一年、遅ればせながらエッセイも読んでみた。
『夫の〜』では描かれきれていなかった、普通のものさしでは測りきれない、「映画?」と思うような作者の半生が更に壮絶で悲惨さとかよりもはやワクワクしてくる。
スーパーハードモードんい見える人生での失敗も、常に明るいわけではないけど、悲哀だけではなくどこかユーモアを感じさせる文章でのめり込んでいく。このギリギリくすっと笑えるバランス、絶妙。
失敗や不幸に目が行きがちだけど、
『「おしまいの地」で生まれ育ち、「何も知らない」ことを知っている。』
という、置かれた場所を活かしてあるものでやりぬいていく姿勢が、ど田舎に暮らしている自分にとっては響く部分があった。
また失敗を積み重ねているように見えても、すべての経験が現在地点に活かされているという考え方も素敵だった。
『人生の局面で悩んだときは「振り返ったときに何かが残るほう」を選ぶ。』
すごくいい言葉。
ドタバタしながら悲喜こもごもすべてを受け入れて奮闘する作者の話をこれからも読んでいきたい。