インドの思い出: シロアリの引っ越し
知ってる人がどれくらいいるか分からないが、私は昔インドでポスドクとして働いていたことがあり、2年弱ほどインドで暮らしていた。
(想像に難くはないと思うが)インドで暮らしていると、日本で暮らしていたら中々起きないだろうなということが割と体験できる。今回はその内の強烈な1つ: シロアリの引っ越しを紹介しよう。
かつて私が暮らしていたあたりでは(※1)、
年に数日ほど外の空間が虫で埋め尽くされる時期があった。
何を言っているかわからねーと思うが、この埋め尽くされるというのはそれほど誇張ではない。5センチくらいの飛んでいる虫が(10cm)x(10cm)x(10cm)の空間あたり10匹程度の密度で常に縦横無尽に飛び回っているイメージだ。それがある日いきなり起きるのだ。
そのせいで外を歩く際は無数の虫に衝突しないと進めないような状況であった。朝ごはんを食べるために家から食堂へ移動するときも、食堂から職場へ移動するときもである(※2)。なんなら歩きながらしゃべるとちょっと口に入りそうになる。
なんでこんなことになっているのかと調べてみると、驚愕の事実が・・・
どうやら年に数日だけシロアリの成虫が住む建物を変えるために移動する日があり、今日がちょうどその日だという…
色々理解が追いつかないがまず思ったのが、
それって建物の中に普段あんな沢山のシロアリが入ってたってこと?
だ。知らなかった・・・1回も見た記憶がないけど、普段どこに隠れてたんだろう。
正体が分かったところで自分にできることはただ耐えることだけだった。そして数日経ったらシロアリはぱったり見なくなった。しかしあの光景を見てしまった後では、家のどこかにシロアリが沢山いるんだろうと思ってしまう。すごい体験だった…
最後に1つ。
この事件に遭遇したときシロアリのことを色々調べていたら、シロアリは寿命が永く中には数十年生きる個体もいるということを知った。そのことをシロアリが飛び回っている日に同僚の日本人の先輩に教えたら、先輩が一言。
え、じゃああの中に俺らより年上のやついるってこと?
名言!w じゃあの。
※1 北部のAllahabad(現在はPrayagrajというらしい)にある、Harish-Chandra Research Instituteというところにいた。ガンジス川の隣だった。
※2 家は研究所の中にあった。これはインドの研究所では一般的なことで、学生やポスドクの他に、事務の人や教授などもキャンパス内に住んでいることが多い。
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