ISO30414認証取得への道(その3)
これまでご紹介したポイント
前回、前々回でISO30414認証取得にあたってのポイントの内、
1.取得目的の設定
https://note.com/masayukiima/n/n89a4a2fef67b
2.推進体制の整備
https://note.com/masayukiima/n/n7fd127966bbb
をご紹介しました。今回は、以下3の「認証取得時期の見極め」についてです。
Fit&Gap分析(現状分析)の実施
このポイントを考える上では、まずはFit&Gap分析(現状分析)を行ってみて、
①ISO30414が定める基準を「クリアできている/できていない」
➁「できていない」場合は、どの程度Gapがあるのか。
➂そのGapは埋められそうか、埋められるとすれば、どの程度時間が
かかりそうか。
といった流れで、その後の進め方のスタンスを決めることになります。
クリアできている(と判断した)場合は、あとは審査時期との兼ね合いなので、審査機関(又は外部コンサルタント)と相談しながらその後の進め方を決めれば良いのですが、「クリアできていない」場合は、➁、➂を見極める必要が出てきます。
ちなみに、Fit&Gap分析とは、ISO30414の認証基準に照らして、自組織の取得できる可能性がどの程度なのかを確認する現状分析のことですが、そのためにはISO30414の認証基準を正しく理解しておく必要があり、前回ご紹介した「ISO30414リードコンサルタント/アセッサー」という資格がここで役割を果たすことになります。
ISO30414の認証基準については、日本における唯一の審査機関であるHCプロデュース社の代表の保坂さんが、こちらで話されているので詳しくはこちらを読んで頂ければ思いますが、ざっくり申し上げると、「データ取得度」、「データ開示度」、「比較可能性」の3つの軸が審査基準となります。(実際にはそれぞれもっと細かい審査の観点が定められています)
どんなGapがあるのか?
やや話がそれましたが、上記➁については、どのような「Gap」があるか、ということによってもその後の対応が変わってきます。
具体的には、このようなパターンに分類する必要があります。
1.データはあるが、ISO30414に準拠していない
2.データはないが、取得しようとすれば取得可能
3.データはなく、取得するのは難しい(そうした制度や施策がない)
特に3が今回、この点を取得にあたってのポイントに挙げた理由の一つで、ISO30414の特徴として、欧米型の人事制度、具体的に言うと、いわゆる「ジョブ型」の人事制度を想定したガイドラインになっていることが、特に日本企業にとっては難所になる可能性が高いと感じたからです。
少し具体例を示すと、「採用・異動・退職」のカテゴリ(項目)に関して、「重要ポストの割合」「重要ポストが埋まるまでの時間」といった「ポスト」という概念ありきの指標がいくつか定められています。
おそらく多くの日本企業は、職能資格制度がベースにある人事制度を導入していると思いますので、その場合は、このポストを定義することからスタートする必要があります。
その他にも、「従業員のコンピテンシーレート」の指標など、そもそもそうした仕組みがない場合には、新規施策を導入するかどうかといったなかなかハードな課題検討も伴います。こうした判断は人事部門単独で決められないこともかなり多いのかなと思いますので、Gapの状況をしっかりと見極めた上で、認証取得をいつ目指すのか(可能性含め)という点を定めることは、意外と苦労する点かと思われます。
もちろん、すべての項目/指標が100%準拠していないと認証取得ができないわけでもないので、どの程度までの準拠度を目指して、いつまでに/どこまで課題をクリアするのかのマイルストーンを定めて、早期に経営含めた関係者で合意形成しておくと、その後の取り組みが進めやすくなると思います。
次回は、「ヒューマンキャピタルレポートの位置づけ」についてご紹介します。
今回も最後までお読みいただきありがとうございました。